会報
IMO委員会出席報告(MSC72報告およびMEPC45速報)
基準部
第72回海上安全委員会(MSC)
標記会合は、平成12年5月17〜26日、ロンドンの国際海事機関(IMO)本部において開催された。主な審議概要は以下のとおり。
1. 「決議A.744(18)」の改正(「ナホトカ号」事故の再発防止対第として捉案した舶舶の縦強度評価に関する我が国提案)(議題13船舶設計及び設備)
ポイント
・我が国が提案したタンカーに関して「船舶の縦強度を旗国検査時に評価し、一定の基準以上の縦強度を持つこと」は、本委員会において特段の議論無く、本年4月に開催された第43回設計設備小委員会(DE43)から送付された原案どおり承認された。
・経緯
平成9年1月に発生した「ナホトカ号」事故が、船体強度の大幅な低下が原因であったことから、我が国はIMOに対し、
板厚測定報告書に「板厚衰耗限度」を記載すること
(平成9年11月採択、平成11年7月1日発効)
船体構造の健全性に関するPSCの強化
(平成11年11月に総会決議を採択、即実施)
を提案し、これらが世界的に実施されることとなった。
さらに我が国はタンカーに関して、
船舶の縦強度を旗国検査時に評価し、一定の基準以上の縦強度を持つこと
をIMOに提案し、本年4月に開催された第43回設計設備小委員会(DE43)で審議されることになった。
「ナホトカ号」と同様な事故の再発防止は、早急な実施が必要である。このため、我が国は4月に開催されたDE43に対し、長さ130m以上で、船齢10年を超えるタンカーの旗国検査時に船舶の縦強度の評価を要求することを提案し、これが全会一致で合意された。
本件は、当初の審議計画によれば、来年3月開催予定のDE44の審議を経て、来年5月のMSC74で承認、再来年春のMSC75で採択が最も早いスケジュールと見込まれていたが、DE43において全会一致で我が国提案が受け入れられたことから、我が国より対策の早急な実施のために早期のMSCにおける承認、採択の必要性を主張したところ、各国がこれを支持し、例外的な特別措置として、今次MSC72に「緊急案件」として承認のため審議されることが合意されたものである。
・審議結果
DE43から送付された「船舶の縦強度を旗国検査時に評価し、一定の基準以上の縦強度を持つこと」は特段の議論なく原案どおり承認された。今後、11月に開催予定のMSC73での採択を経て、2002年7月から発効する予定である。
・「ナホトカ号」4故再発防止策の全体像
旗国検査及びPSCの強化による「ナホトカ号」事故再発防止対策の全体像は、次のとおり。