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7. 航路と逗貨等

1] 「超高速ビジネスフェリ」

(a) 東京・大阪聞のルート

東京・大阪間の「幹線ルート」では、関東地区では木更津市、関西地区では泉南市にそれぞれ新たな拠点港を設けた場合につき検討してみたい。

木更津・泉南間(距離約600km)のルートでは、所要時間は8時間程度となる。また、運賃を高速道と対抗できる水準として、例えば、普通車(5m)30,000円、等料金20,000円、特別二等料金15,000円、二等料金10,000円程度に設定した場合、最大積載量、普通車(5m):629台、等席:50名、特別二等席:300名、二等席:1150名、に対する乗船率が10割であると、運賃収入に対する燃料費の割合は26.8%程度、乗船率8割では33.5%程度となる。

但し、新ルートでは途中速力の制限はないものとする。また、各車両の料金には乗員1名の二等料金が含まれ、特別二等席を求める場合には、その差額を支払うこととする。

例えば、朝7時頃から20〜30分間隔で11時頃まで、上り・下りそれぞれ10便程度の設定をした場合、概ね1万台以上の普通車を航送することができ、ニーズに充分応えることができ、かつ、地上の過密解消にも大きく寄与することができるであろう。また、周辺地域への大きな波及効果をも期待できる。

本船では、その高い利便性により、単なる地上走行からのシフトだけではなく、(高速道路の長距離運転は敬遠したいが、遠方の得意先を車で回ってみたい場合等のように)全く新しい利用車も多く見込まれ、特に、時間価値が尊重されるビジネス用途の乗用車やワゴン、kg単価の高い比較的に高価な商品を積載した小型トラック等々の各種普通車を対象として、高い乗船率を確保できるものと予想される。なお、発展的には夜間便の設定も充分検討の余地があるであろう。

(b) その他のルート

まず、東京・大阪間の「幹線ルート」の実現により、普通車によるユニークな長距離の移動形態によるメリットが、広く認識されれば、「幹線ルート」に適宜接続便を設けることにより、その他の高速海上ルートを逐次開設できることになるであろう。

 

2] 「超高遠ROROフェリー」

(a) 東京・大阪間のルート

同様に、新しく東京・大阪間の「幹線ルート」を開設し、関東地区では木更津市、関西地区では泉南市にそれぞれ新たな拠点港を設けた場合につき検討してみたい。

木更津・泉南間(距離約600km)のルートでは、所要時間は9.3時間となる。また、運賃を、例えば、12m、20tトラック:120,000円、8m、8tトラック:80,000円、〔普通車(5m、5t):25,000円、一等料金:15,000円、特別二等料金:12,500円、二等料金:10,000円〕に設定した場合、最大積載量、12mトラック:55台、8mトラック:235台、に対する乗船率が10割であると、運賃収入に対する燃料費の割合は26.9%程度、乗船率8割では33.6%程度となる。なお、簡略のため、旅客については運賃収入への算入を割愛している。

例えば、早朝からの昼間便と夜間便合わせて1日上り・下りそれぞれ6便程度の設定をした場合、6隻各2航海の高能率な運航体制で3000台以上のトラックを航送することができ、ニーズに充分対応でき、かつ、地上の過密解消にも大きく寄与することができるであろう。

東京・大阪間では、もっぱら夜間のトラック便が主体となっているが、前述の「キー・チェック・システム」の利用により、海上へのシフトが多く予想される。また、やむを得ず混雑する昼間の地上走行を余儀なくされているトラックからのシフトも見込まれ、高い乗船率を確保できるものと推定される。

例えば、大阪の夜勤工場で早朝集荷した荷物を、そのままトラックで出荷して、「超高速ROROフェリー」の早朝便(「キー・チェック・システム」を利用したドライバーレス)で東京へ運び、東京では、そのトラックに、夕方までに集荷した荷物を積み込んで、夜間、東名・名神高速道を経由して翌朝大阪に帰着するような、運用効率の高いハードなスケジュールを、ドライバーを酷使することなく、実現することができる。

 

 

 

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