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これにより、搭載した多数の車両をスリップさせたり転倒させることなく、小さな旋回半径で安定に旋回することができる。また、低速時にも良好な操船性を得ることができ、かつ速やかな離接岸も可能となる。

 

6.13 乗り心地及び居住性

両船は、機関室を主船体の最下層に設けているため、機関室からの騒音や振動が最上層の客室まで伝搬されることはなく静粛性が確保されると共に、没水体まわりの伴流分布が周方向に均一化されていることにより推進器による起振力が低く抑えられ船体の振動も少ない。また、船体が波の影響を受けにくく横揺れが発生しにくい上に、横揺れ周期Tが比較的に大であり、かつ、旋回内傾斜が実現されるため、客室を最上層に設けているにもかかわらず、旋回に伴う不安定感が解消され、快適で安定した乗り心地と良好な居住性を確保することができる。

 

6.14 経済性

両船の経済性を評価するための基準として、交通機関の移動に伴う効率を評価する指標としての輸送効率(Transport efficiency)4)5)の考え方を適用したい。その比出力を表す指標P/WV(輸送効率の指標WV/Pの逆数、又は広義での輸送効率)の値を求めると、Fig.12に示すように、「超高速ROROフェリー」では航海速度35knにて0.202、「超高速ビジネスフェリー」では航海速度40knにて0.272で、いずれも非常に低い値を示し、基本的にすぐれた経済性を具備していることが判る。なお、Fig.12は資料5)に掲載されている図表から必要箇所を抽出して簡略化したものである。

 

023-1.gif

Fig.12 輸送効率

 

 

 

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