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また、コンテナ船に関しては、1976年、高速化と大型化を目的として日本で建造された2,320TEU型の1部の船に、2基の主機関搭載による2軸推進器方式が、採用されたことがあった。しかし、1999年現在、世界のコンテナ船約2,540隻の内、2軸推進船は、当時建造された船を主体に、約20隻しか存在していない。

そして、1980年代末には、パナマ運河を通航しないPost Panamax型が就航するや、堰を切って、世界の主要船杜は、大型化を促進し、1995年以降2000年の現在も5,000TEU型以上の超大型コンテナ船の時代へと進展しているのである。

さらに、近年建造されている5,000〜7,000TEU型の超大型コンテナ船は、造船技術の発展により、最大出力約93,120HPの高出力機関が製造できるため、1軸推進方式でも可能である。

そして、2000年3月現在、マースク社などは、21世紀初めに、10,000-13,000TEU型の超々大型コンテナ船の建造も計画している。しかし、現在、これらの13,000TEUの超々大型コンテナ船は、航海速力にもよるが2軸方式となり、出力は約140,000HPともなると推算されるので、建造船価や燃料費は、大幅に上昇するものと見込まれる。

問題は、2000年代になって、現在の世界の主要なコンテナ輸送航路で、どの船型が経済上、もっとも輸送効率の良い船型であるかを判断することは、むずかしい。すなわち、1998年前後に発生したように、アジアと北米間の西航での空コンテナの輸送量が、東航に比べて異常に多く、インバランスの状態にあった場合、運航採算上、コンテナ船の消席率をどの程度まで許容するのかなどの現実的な集荷の積載量に問題があるからである。しかし、2000年秋の現在、太平洋航路のコンテナの海上荷動き量は往復とも好転しつつあり、新造船価が比較的安い事が船の大型化や建造発注を促進している原因である。(第4表、第3図参照)

 

(3) 今後の大型化問題(大型化のデメリット)

コンテナ船の大型化による運航船社としてのメリットは、既に述べた通りであるが、他方、現実の問題として、大型化が、コンテナ船業界に与えるデメリットも多く、つぎのような点が考えられる。

・1990年代に入り、特に1995年から1999年までの5年間の大型船建造を主体にしたコンテナ船の船腹量の伸び(年平均13.7%)は、コンテナ貨物の伸び(年平均7.2%)以上に大きいため、スペース需給が緩む可能性がある。

 

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第3図 世界のフル・コンテナ船の最大船型推移

 

 

 

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