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第3章 オーストラリアの造船業の現状

 

3-1 造船業界の概要

 

現在のオーストラリアの造船業界は、民需造船業(タグボート、海上補給船、漁船、高速船、豪華船などの軽量船業界)と、軍需造船業(潜水艦、フリゲート艦、および船舶・潜水艦用の部品)の2つから成っている。地域的には、西オーストラリア州、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、タスマニア州が造船所の多い地域になっている。表3-12に示すように、造船業界の1998/99年度の売上高は約15.4億豪ドルで、直接雇用人数は約7,096人となっている。

 

表3-12 オーストラリア造船業界の主要数値指標

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出所:ABS special data service, ABS Cat No. 8221-0 and DFAT STARS database

1998/99年度の数値はオーストラリア統計局へのE-mailによる問い合わせに対する回答によるもので、1998/99年度が最新の数字である。

出典:Department of Industry, Science and Resourcesホームページ

(1999 Industry Outcomes and Outlook Statement)

注:造船業には、ANZSIC Code 2821により、次の業種が含まれる。

・ 造船、解撤、修繕

・ 潜水艦の建造

・ 潜水艦用部品製造

・ ドライドックの運営

・ 船体清掃

 

従来オーストラリアの造船業界は、国内市場向けに鋼製船舶建造が主で、高率の補助金を受けていた。造船業界への補助金は、最初に1939年に提案されたが、第二次世界大戦により中断し、戦後、施行されたもので、国内向け船舶には全て適用されたが、輸出向け船舶には適用されなかった。1970年代初めには、補助金は45%という高率に達した。1980年代になると、それまでは、国内向け船舶の製造であれば、1回限りの造船を行う会社にも適用されたが、造船専業会社のみを対象とすることとなり、また、補助金が輸出用の船舶建造にも交付されるようになった。

 

 

 

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