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通貨防衛のため、近隣諸国の金利が下落する中でフィリピンの金利は、ペソ安対策から引き上げられた。ペソ安と高金利が原因となり、フィリピンの2000年の国内総生産(GDP)成長率は4%にとどまり、アジアの中で最も低い成長率となり、2001年も3%前後と最も低い成長が予測されている。

ペソは2000年初めには1米ドル=40ペソの水準にあったが、エストラーダ前大統領が2000年1月からミンダナオの反政府勢力への攻撃を強め財政赤字と治安が悪化したことがきっかけで下落が始まり、マルコス時代のクローニズムが復活し汚職が横行しているとして、エストラーダ政権の国際的評価が低下し、ペソの下落が続く要因になった。

99年のGDP成長率は3.2%。政府は2000年度の成長率について4%との目標を掲げていたが、フィリピン政府が発表した2000年の国内総生産(GDP)成長率は3.9%、国民総生産(GNP)成長率は4.2%となった。2000年第4四半期には、GDPが3.6%成長した方、GNPも4.4%伸長。これを受けて政府は2001年の成長率目標を3.0〜3.5%から3.8%へ上方修正した。

国際通貨基金(IMF)は、2001年のフィリピンの国内総生産(GDP)成長率は3%程度にとどまるとの見通しを示した。政府は2001年のGDP成長率を3.8〜4.3%と見込んでいるが、IMFは米国や日本の景気低迷で経済成長のけん引役である輸出が減少すると指摘、さらに投資家の信頼を回復するためには財政赤字の削減が急務だと提言した。今後の見通しについては、米国の景気減速と長引く日本の低迷が輸出の減少を招くとのシナリオを描いており、GDP成長率の予測を先の3.3%から3%程度に下方修正した。米国と日本への輸出は全体の45%を占めており、両国の回復なしにはフィリピンも高成長を望めないと予測する。輸出のほかにIMFが重視しているのが巨額の財政赤字。政府は2001年の抑制目標を1,450億ペソに設定している。財政赤字の原因としてIMFは歳入の低迷を指摘しており、税制改革を進めるアロヨ政権に支持を表明。ただ、歳入の増加に伴うインフラ整備や人材開発にも傾注するよう要求した。表2-1にフィリピンの主要経済指標を示す。

 

 

 

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