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はじめに

 

フィリピンは7,000以上の島々から成る列島国であり、産業資材から日常品の輸送、人の移動にいたるまで海上交通に大きく依存している。しかし、フィリピンの内航海運は老朽化した船舶が使われていることが多く、安全性、信頼性、および輸送効率は他の海運国に比べて著しく劣っている。フィリピン政府は、日本からの円借款で、1995年から内航海運近代化計画を導入し、内航船の高度化をはかっているところである。

また、フィリピンの造船所の数はアジアで最も多いが、船舶修繕に従事しているところが多い。新造船も近年増えているが、外資造船所によるところが大きい。さらに船舶修繕分野でも、近年、中国との競争が激しくなっている。1999年は、新造実績、修繕実績とも、1998年に比べてトン数ベースでは増加しているが、鉄鋼や機械・部品といった資材が国内で調達できないこと、熟練エンジニアが少ない、などの問題を抱えており、これらがフィリピン造船業界の成長阻害要因となることが懸念されている。

なお、フィリピンでは政情不安が続いているが、政府が発表する統計データはかなり多く整えられている。東南アジア諸国としては、海事産業に係わる統計、データも整っている数少ない国であり、本稿をまとめるにあたっては、きわめて有用であった。しかし、データ年次としては、1999年のものが多く、2000年のデータはまだ発表されていない。本稿では、現在発表されている最新のデータを元に作成した。

 

 

 

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