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11.2 船舶の種類及びサイズ

 

本調査の範囲には適当な船舶の技術及び仕様に関する詳細な検討は含まれていない。しかしながら、鉄鋼のケーススタディー分析及びこれまで沿岸輸送発展を妨げてきた要因から以下の考察が可能である。

 

11.2.1 伝統的なバージシステム

 

伝統的なバージのシステムはタイの国内貨物輸送においてこれまでも重要な役割を果たしてきており、今後もそれが続くであろう。タイの内水路はきわめて重要な陸上輸送の代替手段となっている。このことは、疑いの余地なく、伝統的なバージのシステムは短距離海上航海、特に悪天候の場合に安全な投錨が可能な東部沿岸地域沿いの沿岸航路では、今後も使用されるであろう。

しかしながら、前章で述べたように伝統的なバージのシステムは、特に外洋では非常に低速であり、悪天候の場合には外洋を渡航することができない、高品質の貨物取扱用には設計されていないものが多い、などのいくつかの限界がある。

これらの要因を合わせると、伝統的なバージのシステムが現在の範囲を超えて沿岸輸送活動で重要な役割を果たす能力は大きく制限されていると考えられる。伝統的なバージの将来的な役割は、時間制限の少ない大量貨物の内水路及び短距離沿岸航路内の運搬に限られてくるであろう。

 

11.2.2 外洋航行バージシステム

 

第8章で、伝統的なバージシステムは悪天候下では安全でないのに対し、世界中には悪天候下で安全に航海できるよう設計されたバージの例が数多くあることを述べた。これらのバージはコンテナ及び大量輸送業務の双方で使用されており、航路はアントワープ〜ロッテルダム間のシャトルサービスから南北アメリカ間の大陸航路まで様々である。

これらのシステムは伝統的なバージと多くの点で異なっている。おそらく最も重要な点はエンジンの馬力である。ある外洋航行バージ業者の経験によると、3,000〜5,000DWTの積載荷重に対し、2,000〜3,000馬力のタグボートが適当であるということである。バージはまた、浸水を防ぐための適切な乾舷とともに、外洋での安定性を考慮して設計される必要がある。

そのような高馬力のバージの使用は沿岸輸送サービスの市場を非常に拡大する可能性がある。外洋航行能力を有することにより、最悪の天候の場合を除き、バージが年間を通じて運航することが可能になる一方、運行速力が速いことは伝統的なバージと比較して時間を大幅に節約することができるであろう。同時に、低い乗組員費用及び比較的安い建造費用により、バージが従来型サービスの費用効率面での代替手段となる。

 

 

 

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