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オーストラリアのOrbital Engine社は、空気式燃料直接注入システムを開発し、米国のボート業界に売り込んでいる。ウィスコンシン州Fond-du-LacにあるMercury Marine社は、Orbital社の技術を用いたOptimaxエンジンを使用している。Opimaxエンジンでは、燃料が高圧空気によってシリンダーに注入される。エレクトロニクスシステムにより注入のタイミングが決められ、注入前に排気口が閉まるのはFICHTと同じである。Mercury Marineでは、135刧225hpのエンジンにOptimaxの技術を用いている。

 

Yamaha Marineも、Orbitalと同じ空気式燃料直接注入システムを用いたエンジンを開発し、マーケットに出している。Yamahaのものは、排気ポートが閉まってから噴霧状の燃料を圧縮空気により約700psiの圧力でシリンダー中に注入している。この技術は、Yamahaの2.6リットルV-6エンジンに適用され、2000モデル年からマーケットで販売されている。

 

その他数社のPWCメーカーが、Orbital社のライセンスあるいは類似技術により空気式燃料直接注入エンジンを開発中であり、空気式は最もポピュラーな技術となっている。Orbital Engine社は、OMCに技術供与しているほか、米国で人気のあるPWC“Sea-Do”のメーカーであるBombardier社や日本のTohatsuに技術供与している。

 

4ストロークエンジンが、2ストロークエンジンに比して格段にクリーンなエンジンであることは前述のとおりである。4ストロークエンジンはOBの大部分に適用可能であり、OBエンジン数社で2-130hpの4ストロークエンジンが生産されている。従来の2ストロークエンジンと異なり、4ストロークエンジンではクランクケースから空気/燃料/オイル混合気体を排気する必要がないので、HCの排出は極端に減る。最近、4ストロークエンジンに対する燃料注入システムやエンジンの設計自体が進歩したので、より広い出力範囲の4ストロークエンジンの生産が可能となっている。

 

4ストロークエンジンは、自動車、非道路エンジン、船内外機、船内機、屋外動力用として使われ、性能が実証されている。最近まで、100hp以上のエンジンでは4ストロークエンジンに特有の付加部品重量が大きくなるので、舶用として4ストロークエンジンを使えるのは100hpが限度と考えられていた。しかし、エンジンの技術及び設計の進歩により、100hpの壁が破られ、エンジン業界に少なからぬ恩恵を与えている。現在、マーケットに出ている4ストロークエンジンは、大部分が2006モデル年の基準を満たしている。

 

第3の技術である触媒技術は、自動車エンジンにこれまで広く使われてきており、OB及びPWCエンジンにも適用可能であるが、舶用化に当たりメーカーは多くの技術的課題を解決しなければならない。

 

 

 

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