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4-3 ガソリンエンジンのHC減少技術

 

OB/PWC用2ストロークガソリンCIエンジンに関し、1998モデル年から暫次HC排出量を減らし最終的に2006モデル年までに基準年の75%減のHC排出とする規制のNPRMが出た1994年頃から、各エンジンメーカーはプロジェクトチームを設けて来たるべき規制に備えて、自社技術の開発に取り組んだ。各社のプロジェクトは、単にHCを75%減らすだけに留まらず、エンジンの性能向上、燃料消費量や音、スモークを減少させて他社製品との有意差を求めた、幅広い技術開発を指向した。

各メーカーが排出基準に合致するために採用している技術は、基本的に燃料直接注入、触媒コンバーター、4ストロークエンジンの3つである(付録4)。

現在、EPAの最終排出基準が発効してから2年しか経っていないが、メーカーは既に多くの低排出エンジンをマーケットに出しており、中には2006モデル年の排出基準を満たしているものもある。

 

燃料直接注入によるOB/PWCエンジンのHC減少量は大きい。この方法では、従来の2ストロークエンジンと異なり、排気ポートが閉まってからピストン直上のシリンダー部に燃料を適正量注入するので、不燃焼ガスが排気ポートから排出されることはない。

結果として、従来の2ストロークエンジンに比し、HCの排出量は80%減り、同時に燃料効率は35-45%増加する。メーカーはいろいろな燃料直接注入システムを検討しているが、現在マーケットで入手可能なものは3種類あり、何れも似たようなHC削減、燃費向上性能を示している。

90刧225hpのOB及び1999モデル年のPWCエンジンには、本技術を使用したエンジンが取り付けられている。

 

米国のOBエンジンは、Brunswick社とOMC (Outboard Marine Corporation)の2大メーカーによって生産されているが、OMCは圧力パルスシステム設計に基づく低排気エンジン技術を開発して、FICHTシステムと呼んでいる。

FICHT燃料直接注入システムは、エレクトロニクス作動の高圧パルスシステムで、350psi以上の圧力で各エンジンシリンダーに毎分7000回を超す割合で、直接燃料を噴霧状に注入するものである。OMCは、この技術を90刧225hpのエンジンに採用している。また、PWC用エンジンとしてPWCメーカーのPolaris社及びKawasakiに技術供与している(なお、OMC社は2000年12月にボート及びエンジン部門の売却をチャプター11により申請し、2001年2月それぞれGenmar社及びBombardier社に総額95百万ドルで売却されることが了承された。)。

 

 

 

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