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HC+NOx=Ax(151+557/P・exp0.9)+B

HC+NOx=C

ここにA=HCの減少率

B=NOxの増加量

C=あるモデル年の最大HC+NOx量

具体的A、B、C値は、第3-5表参照

 

上記公式では、P<4.3kWではCの値の方が小さくCがHC+NOxの規制値となるが、P>4.3kWではA及びBを含む式で計算した値の方が小さくなりこれが規制値となる。第3-4表でP<4.3のコラムの値は上式のC値であり、P>4.3のコラムの最初の項はHC、第2項はNOxの値を示している。ベース年で2.0g/kW・hrであったNOxは、2006モデル年及びそれ以降で6.0g/kW・hrとなる。

 

本規制値の具体的適用で重要なことは、メーカーのエンジンファミリーの平均値に対し規制値が適用されることである。つまり、あるエンジンのエンジンファミリーの生産ラインの製品が規制値を超えていても、会社内の別のエンジンファミリーの生産ラインの製品の排出値が規制値以下であれば、会社として合格するというCAS (Corporate Average Standard)の考え方に基づいている。

この理由は、本規則が発効した1996年10月4日から1998モデル年までの期間が短く、新技術を実証する充分なリードタイムがとれないことを考慮したものである。CASにより、各エンジンメーカーは余裕を持って各種新技術を実際の生産ラインで検証することが可能となった。ただし、EPAは本規則適用の初期に新技術を使用したエンジンのマーケットが片寄ることを危惧し、2001モデル年まではOB用エンジンとPWCエンジンのCASを禁じている。

 

本規則で、EPAはさらに、あるエンジンファミリーが規制値以上の性能を示した場合のクレジットの預金(Banking)、メーカー間のクレジットの貸借り(Trading)も認めている。上記の社内平均(Averaging)と合わせてABTと称し、メーカーに基準に適合する上でのフレキシビリティーを与える3大要素となっている。Bankingはある会社のCASがあるモデル年で正のクレジットを得た場合、この正クレジットを以後3年間CASあるいはTrading用に使えるというものである。また、負のクレジットの取扱いも詳しく定められている。そのほか、Early Bankingと称し、もしあるメーカーの1998モデル年のCASがHC8.3%減の規制値をクリアーした場合、この会社の1997モデル年の製品に8.3%の半分、4.15%のクレジットを与えるというようなきめの細かい規定を設けている。

 

 

 

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