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第3-2図は、EPAの解析結果を示す最も重要な図である。縦軸にコスト効果、横軸にHC減少率%を示したものであるが、75%を超えると急にカーブが立って、90%ではほとんど垂直になる。つまり、これ以上は幾ら資本を投入してもHCをそれ以上減少させることは不可能である。したがって、EPAはカーブの立ち上がる直前の75%を選び、このポイントでの新技術を上手に、長期間にわたり導入すれば、コスト効果の高い価格弾力性のある次世代のクリーンなエンジンを得ることが可能であるとの結論に達した。

 

本最終規則が発効したことにより、OB/PWC用の2ストロークガソリンCIエンジンは1998モデル年からHCを徐々に減らしはじめ、9年後の2006モデル年で75%減のエンジンを生産することが義務づけられた。ただし、既存エンジンは適用除外であり、また、舶用エンジンの寿命は比較的長いので、EPAは全体のOB/PWCエンジンからのHCが75%減るのは2025年になると予測している。

本規則は、メーカーが上記9年間で自分のペースで新技術を採用でき、過度の負担を受けることの無い“良い法律”であるが、副産物としてクリーンという以外に多くの性能向上が期待されている。すなわち、エンジンのスタート及び加速の容易、音の減少、燃費の向上等であるが、今までのエンジンのごとくガソリンとオイルを混ぜる煩わしさも無く若干の価格上昇で得られる利得は大きい。

 

第3-4表は、40CFR91所載の1998-2006モデル年でのHC+NOx排出基準である。出力4.3kW以下では出力に関係ない一定値、出力4.3kW以上では出力に関係する項と一定値の和として排出基準が定められている。NPRMの中で提案されていたCOの上限値400g/kW・hrは、最終的に取り下げられている。付録2に第3-4表の基となった、EPAの考え方を収録する。

 

EPAの考え方は、まず仮想ベース年のHC (ベース)及びNOx (ベース)を下式より計算し、ベース年のHC+NOxの値をHC (ベース)及びNOx (ベース)の和として求める。

 

HC(ベース)=(151+557/P・exp 0.9)あるいは300g/kW・hrの小さい方

NOx(ベース)=2.0g/kW・hr

ここにP:出力

exp:exponential

 

HC(ベース)+NOx(ベース)の値を基に、同じ年間増減量で1998モデル年から2006モデル年までの9年間HCは減少しNOxは増加する。この9年間のあるモデル年のHC+NOx規制値は、次の2式の何れか小さい方の値として求められる。

 

 

 

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