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2. 大気汚染と船舶

 

2-1 大気汚染の現況

 

地球の温暖化と二酸化炭素(CO2)、地域(例えば四日市)喘息と酸化窒素(NOx)/酸化硫黄(SOx)、酸性雨とNOx/SOx、大都市に発生するスモッグといった大気汚染の問題が、日常茶飯事のごとく新聞紙上を賑わすようになっている。

スモッグは、地表オゾンが原因である。オゾンは、成層圏と対流圏において共に環境問題に重要な関係を持っている。成層圏オゾンが太陽からの紫外線を吸収し、地球上に人類が生存することを可能にしている善玉であることは良く知られている。対流圏オゾン、特に地表に近い地表オゾンは大気中のNOx、SOx、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound VOC)等の排気物と結合してスモッグの元凶となり、人間の肺、呼吸器系に害を与え、自然の生態系や農作物に害を及ぼしている。

EPAは、大気汚染物質を基準大気汚染物質(Criteria Pollutants: CPs)と有害大気汚染物質(Hazardous Air Pollutants: HAPs)に分けて対応している。CPsは大量に、HAPsは比較的少量でも大気中に放出されると、環境と人間の健康に悪影響を及ぼす。

1997年以前、EPAがCPsに指定していた物質は、一酸化炭素(CO)、NOx、SOx、VOC、微少粒子(Particulate Matters: PM)及び鉛(Lead)の6種であったが、1997年アンモニア(Ammonia)を加えて7種とし、アンモニアに関する1990年に遡るデータを公表した。アンモニアは空中でSOx、NOxと反応して硫化あるいは窒化アンモニアとなり、PM-2.5(2.5ミクロン以下のPM)となって検出されている。

これらCPsは、EPAにより1970年代初期以来全国各地で常時測定されているが、測定ステーションは順次増加し、現在では全米で4,000か所以上となっている。

 

1970年のCAA公布後、EPAはまず大気基準 (National Ambient Air Quality Standard: NAAQS)を作成し、環境と健康を守るための基準とした。NAAQSはCO、オゾン、NOx、SOx、鉛、PM-10の6つのCPsの集中レベルであり、排出レベルとは異る。

NAAQSは、健康を守るためのPrimary Standardと、作物、建物等健康以外のものへの害を無くすためのSecondary Standardから成り立っている。第2-1表は1992年のNAAQSである。大気の汚染度は日々、あるいは時間ごとに異なっているので、平均値よりも時間内のピークの汚染度が問題となる。COの例では、1年間のどの8時間をとっても9ppm以下であり、また、どの1時間をとっても35ppm以下であることが必要である。1つ以上のCPsが持続的にNAAQSを越えている地域は、未達成地域(Non-Attainment Area: NA)に指定され、NAAQSを達成するよう特別の指導が施される。CAAは、EPAが5年ごとにNAAQSを見直すことを義務づけている。

 

 

 

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