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しかし、銅も環境上から問題となりつつあり、1999年9月1日スウェーデン及びオランダはレクリエーション用ボートに銅の入った防汚塗料を使用することを禁止している。

塗料製造会社は、保証期間を5年から3年に短縮して、代替製品を導入しようとしているようだ。

 

すずや銅を使用しない防汚塗料に、シリコンベースの塗料がある。このシステムは、塗膜表面を滑りやすくして生物の付着を防ぐシステムで、既に市販されているが非常に高価である。

インターナショナル社は、Intersleek425の商品名で1996年以来シリコンベースの塗料を発売している。このシステムでは、塗膜の上に生物が付着したとしても、船の航行中の摩擦ですぐ剥がれてしまう。また、塗装時のVOCの発生は少なく、本システムを塗装した船は船速が増し、燃料消費量が減ると報告されている。インターナショナル社はさらに、Intersleek700を15〜30ノットの高速船用として売り出している。700は5年の寿命があるが、5年後上塗りを塗装すれば更に5年寿命を延ばすことができる。425、700ともに数多くの評価すべき実績がある。

 

シグマ社のシリコンベース塗料は、Sigmaglideの商品名で市販されている。Sigmaglideは2液性で上塗りは透明なグロスコートである。多くの船主は、TBTの代わりに環境に優しい自己消耗型の成分を含む防汚塗料を求めている。アメロン社はこの種の塗料を既に発売しており、シグマ社はSigmaplane Ecoleを開発しEPAの承認を待っている。Ecoleは新しいタイプのバインダーを使用して、防汚成分を徐々に出す工夫をしている。現在の寿命は3年であるが、膜厚を厚くして5年の寿命を保証すことも可能との結論が出ているので、Ecoleを使う船主が増えている。

ヘンペル社のGlobic SP−ECOは、マイクロファイバーで塗膜を複合強化して耐衝撃強度を増し、有機すずを含まない(Tin−free)塗料が一般に機械強度に問題がありクラックやピーリングの原因となっているという弱点を補っている。

 

以上何種類かのTin−free、Copper−freeの防汚塗料が発売されているが、TBT禁止の2003/2008年のターゲットは、この年までにTBTと同じ効果で5年寿命が保証され、さらに、VOC基準も満たす塗料が開発されることを前提にしているので、関係メーカーのさらなる開発努力に期待したい。

 

 

 

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