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UNDSが完成すると、各州は該当液体廃棄物に関して、UNDSの規制対象船に対して独自の規制法を出すことはできなくなる。UNDSの規制対象船は、港湾に停泊中あるいは岸から12海里以内を航行する艦艇及びUSCGのカッターである。

 

上記22種のうちのある廃棄物については、ハードのMPCDが完成しているものもある。例えば、船体塗装浸出液に関し2000年度に新しく始められたMPCDとしては、船体防汚塗料の開発、続行中のものに水面下の船体クリーニング装置がある。前者は、短期的には塗料中の銅及び亜鉛の水中への浸出を抑えるRDT&E、長期的には全く新しい無害防汚塗料を開発するRDT&Eである。海軍は保証期間、したがって、メンテナンス期間とドライドック期間の長い防汚塗料の開発を目指している。

 

海軍が開発中の水面下で作動する水中外板メンテナンス車(Underwater Hull Maintenance Vehicle)は、クリーニング時に出る有害廃棄物を水中に流さず、係留岸壁近くの陸上の処理システムで処理するユニークな機構を持っている。外板のクリーニングにより、速力や燃費の向上、ソナーの自己ノイズの減少、原子力艦のコアライフの増大等種々の効果が見込まれるが、クリーニングによる米海軍全体の費用効果は4千〜6千万ドルといわれている。

停泊中に外板をクリーニングすることは、有毒な銅、亜鉛を港中に撒き散らすことになり環境規制の法規に触れることになる。開発中の水中メンテナンス車は、外板を検査し、腐食個所を発見し、その場所を再塗装し、有害物質を陸上処理するシステムであり、既にデモンストレーションでは成功している。

 

液体廃棄物に関連して海軍が実施しているRDT&Eには、潜水艦の熱交換器防汚制御技術(Submarine Heat Exchanger Fouling Control)のようなものもある。潜水艦を正常に作動させるためには熱交換器を正常に作動させる必要があるが、クリーニングのためのコストは高い。現在は水性塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を流してクリーニングしているが、塩素処理された水を流すことは禁止されている。このため、海軍では潜水艦及び水上艦の熱交換器防汚用として、パルス音響技術を(Pulse Power Acoustic Technology)を開発中である。

 

 

 

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