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PWPオペレーションの基本手順は、以下のとおりである。

*プラスチック廃棄物をプラスチック粉砕機(1.82mx0.6mx0.76m)に投入し、粉砕する。

*粉砕されたプラスチックを圧縮溶融ユニットに送る。このユニットは高さ2フィートの円筒状で、300度に熱せられるが有毒ガスは発生しない。

*その後ピストンで1/30に圧縮して、直径20インチの円盤状に加工される。円盤は冷却ユニットで冷却後、臭気が外に漏れないようバイオ劣化型プラスチックでできた袋に入れて、艦上に保管し陸揚げする。

 

陸揚げされた円盤状プラスチックは、海軍と契約している専門業者に払い下げられ再利用される。例えば、バージニア州Clear BrookにあるSeaward International社はNSWCCDと協力して、円盤状プラスチック廃材の再利用につき研究を重ね、第4-2図に示すような岸壁用パイル(Sea Pile)に加工し売り出している。Sea Pileは直径10インチ、13インチ、16インチのものが有り(第4-3図)、岸壁用パイルの他橋脚保護パイル、ドルフィン等に利用されている。

 

プラスチック廃棄物以外の廃棄物については、当面パルパー(Pulper)と粉砕機(Shredder)が実用化されている。非プラスチック廃棄物はいくら少量化したとしても、艦上に保管することはその量及び発生臭気から考えて乗組員の居住性を損ない、艦の全体機能を低下すると考えられた。また、市販の焼却炉は容積が大きく艦艇にそのまま使用することは不可能であり、従来のミルスペック焼却炉は何等かの改良が必要な状況である。したがって、艦艇本来の機能を損なわず法規に適合する唯一の方法は、これら非プラスチック廃棄物を処理後艦外に排出する以外にないとの結論に達した。この考え方がパルパーとシュレッダーの開発につながっている。パルパーもシュレッダーも容積、重量共に小さいので艦艇の全体機能を損なうおそれはない。

 

海軍ではパルパーとシュレッダーを使って排出された廃棄物が環境に与える影響を大々的に調査し、その影響が小さいことを確認後、議会に非プラスチック固形廃棄物処理計画書を提出、97年度国防承認法はこれを受けて、パルパーとシュレッダーによる非プラスチック固形廃棄物の洋上廃棄を合法化した。

パルパーとシュレッダーの開発、陸上試験は、PWPと同じくNSWCCDのアナポリス研究所で行われた。パルパーは通常の台所用食物グラインダーに似たものであるが、紙、カードボード、食物屑等全てのバイオ劣化型廃棄物をスラリー化し、艦外に排出した場合急速に拡散するよう配置される。シュレッダーは、金属やガラスのような非バイオ劣化型廃棄物を浮遊しない程度の小片に砕き、バイオ劣化型プラスチック材料でできた目の荒い袋に入れて海洋廃棄し、急速に海底に到達することを狙った装置である。

 

 

 

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