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NMMAではMSDとしてホールディングタンク式あるいは持ち運び式トイレを使用し、ブラック水は全て陸揚げすることを求めている。MSDの防臭剤の選択に注意し、MSDの一般的メンテナンスに心掛け、航海開始前に陸上ポンプステーションの位置を確認し、ドッキング時の陸上トイレ使用の徹底、連邦陸上ポンプステーション増設基金への積極的協力等を呼びかけている。さらに、USCGタイプIあるいはタイプIIのMSDを搭載したボートでは、フラッシング海面は常に水深20フィート以上の外海であることを確認することとしている。

 

船体防汚塗料は、速力維持と燃費の関係で重要である。現在連邦法では長さ25m以下のレクリエーション用ボートにTBT塗料(第6-2節)を塗装することは禁じられているが、アルミ製の船体、OBエンジン、水中推進器はTBTの吐出率が定められた値以下でTBT塗装ライセンスを有する造船所で塗装する場合に限り例外として許可される。

船体防汚塗料に関しNMMAは、ボートオーナーが塗装業者任せとしないで、正しい塗料が塗装されているか、ボート表面を磨いたりサンドブラストをかけるときは下に布を敷く等して危険物質である屑が外に落ちないよう配慮されているか、これらの屑の廃棄が地域当局と相談の上正しく廃棄されているか、ペイント・シンナー・クリーナー等の使用時には水域から遠ざけられ廃棄する場合も充分環境に配慮した方法で廃棄されているか等につきダブルチェックすることを求めている。

 

ボートのトップサイド、甲板、甲板室外板等の洗浄に使用するクリーナー、メンテナンス用化学薬品、塗料等は数多く市販されており、危険度も千差万別である。ボート外部の洗浄作業は海上で行うことが多く、洗浄後の廃水はそのまま海上に排出されるので注意深い取扱いが必要である。製品の使用前に取扱説明書をよく読むことはもちろんであるが、ラベルにバイオ劣化型と標示してあっても危険物質である場合があるので、ラベルに書いてある電話番号で製品内容を把握する必要がある。船体クリーニングに関連してNMMAが示しているのは、可能な限りバイオ劣化型の製品を使用すること、やむをえず化学薬品を使用するときはスカッパーの栓をして漏れたものは拭き取ること、塗料・ワニス・シンナー等を購入する時は1年分を目安に購入し捨てる機会を増やさない、危険物質を捨てる場合は地域の専門家と相談する事等を示している。

 

エンジンは、万が一漏れた場合海洋環境を汚染するクリーナー、オイル、トランスミッション液、不凍液等と関係しているので、取扱いには注意を要する。特に、オイル排出は法規で禁止されているので注意が必要である。エンジンに対するNMMAの対策は、下記のとおりである。

*船内機ボート及び船外機ボート一般

エンジンを常時調整し燃焼効率を上げることにより、汚染物質の排出を減らすよう努める。定期的にゴム製の燃料パイプを検査する。燃料中のアルコール分により数か月でパイプが損傷する場合がある。何か欠陥の前兆を発見したら、直ちにUSCGタイプAパイプと交換する。

エンジンクリーナーは環境危険度が高いので使用を最小限に留め、できれば蒸気クリーニングとする。ボートを格納する場合は、使い捨てプラスチックカバーは避け数年間は使用可能なポリエステルカバーかあるいは更に長持ちするキャンバスカバーとする。

 

 

 

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