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プラスチックは焼却できるものは船上で処理し、プラスチックバケツのように燃えにくいものは陸上処理する。カードボードのようなものは集めて陸上でリサイクルする。要するに、紙及びプラスチックは洋上焼却を基本とするが、RCCLでは法規で許される12海里以遠での灰の洋上廃棄も認めず全て持ち帰ることにしている。紙及びプラスチックゴミの総量は1週間1隻当たり平均60立方メートルである。

*食物屑

食物屑はパルパーと称する大型粉砕機にかけてスラリー化した後、搾り機で水分を除去し焼却炉で燃焼する。水分はグレー水として処理する。食物屑の燃焼には大量の熱が必要なので、紙やプラスチックとともに燃焼する。食物屑は1日1人当たり0.6kgである。

*ガラス及び缶

ガラス及び缶は選別後、ガラスは粉砕機又は圧縮機にかけて体積を縮小し、船上に保管後陸上でリサイクル業者に引き渡す。ガラス、アルミ缶は1週間1隻当たりそれぞれ平均5立方メートル、2.5立方メートルである。クルーズ船1隻の1週間でリサイクルされたアルミ缶から、2500ロールのアルミホイルが作られるといわれている。

*特殊廃棄物

化学薬品、使用済み蛍光灯、バッテリー、使用済み塗料・シンナー、写真廃液、ドライクリーニング廃液等は一切陸上処理とする。特殊廃棄物は液体、固体共有害度の差が大きいので、個々の物質について慎重に対処する。米国ではこれら特殊廃棄物の取扱いはRCRAに詳細に定められているが、RCCLでは特殊廃棄物の処理を世界14港の特定業者に限定している。

 

以上のほか、RCCLの環境基本方針が舶用機械の設計に大きく影響している分野として、エネルギーと水のリサイクル及びガスタービンエンジンの積極利用がある。RCCLのクルーズ船では全てのエンジンの廃熱は回収され、別の機器の熱に利用されている。船上のエアコンの凝縮水はランドリーに導かれ再利用されている。船室のシャワーヘッドは節水型なので、水の節約とともにグレー水の減少につながっている。このようなエネルギーと水の節約が、環境汚染の機会を減らす効果は大きい。RCCLは、2002年に引き渡される85,000トンのVantageクラスをディーゼル推進からガスタービン推進に変え、排ガスを80-98%減らし振動も少なくする等従来のガスタービン船の利得のほか、ガスタービンメーカーのGEと相談しガスタービンの余熱を全て船上の他の機器で利用するような設計を採用して、環境に配慮している。

 

 

 

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