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*使用済みあるいは過剰危険物質

*その他の廃棄物(エンジン及び焼却炉からの排気、少量液体廃棄物等)

*オゾン破壊物質(CFC、ハロン等)

*塗料及び塗装(船体防汚塗料、表面処理、塗装法、塗膜除去等)

*廃棄物と無関係な環境問題(海洋生物の保護等)

*油濁時の即応体制の確立

 

艦艇が今後世界のどの海域においても環境問題を理由に当該国から立ち退きを命ぜられないようにするためには、米国の連邦法、州法、地域法、IMOの国際法を充足した上に訪問国の環境法規にも適合しなければならない。種々の法規上の要求を充たすESS−21の環境に優しい艦艇と舶用機械の設計指針はOPNAVINST 5090シリーズに収録されているが、従来の規定や法規よりも厳しい指針が与えられている。例えば、従来のDOD指針では油分排出基準は20ppmであったが、MARPOLと同じ15ppmに改正された。また、CWAでは許されている200海里以遠での使用済みあるいは過剰危険物質の排出は、完全排出禁止等である。5090シリーズも完全ではなく、国内外の法規も常時変更されているので、5090シリーズ自体も常に変更を余儀なくされている。

 

ESS−21では、設計者が目を通すべき国内環境法規としてCWA、CAA、RCRA、危険物質管理法(Toxic Substances Control Act)、NEPA、絶滅種保護法(Endangered Species Act)、哺乳類保護法(Marine Mammal Protection Act)、連邦政府施設適合法(Federal Facility Compliance Act)、連邦海洋保護区域法(National Marine Sancturies Act)、船舶医療廃棄物投棄禁止法(Public Vessel Medical Waste Anti−Dumping Act)、APPS、MPRCA、OPA90、沿岸地域管理法(Coastal Zone Management Act)の他、珊瑚礁保護に関するEO 13089等7つの環境関連EOを挙げている。また、CWA及びCAAに関連して各州法には常時注意を払い、州によっては港に停泊中の船舶を工場と同じ固定汚染源と規定し、CWAで認められている移動汚染源に対する除外規定を認めないので注意するよう呼びかけている。

国際法としては、オゾン破壊物質を扱っているモントリオール議定書及びMARPOL 73/78を挙げている。その他、艦艇の塗装に重要な影響を及ぼす1997年のEPAのNAAQS改正、艦艇もMARPOLで定められた固形廃棄物廃棄海域規定に従うことを定めた1997年国防承認法の該当部分、MARPOL 73/78附属書VIIとなることが予想される外来種生物のコントロール法規、UNDS、連邦政府から常時出される汚染防止及び危険物減少指針等を挙げている。

 

艦艇の場合、市販の環境装置はスペース、重量、耐衝撃性等の艦艇特殊要求、非常時即応制約、厳しい作業環境等の理由からそのまま使用することはできないので、海軍が独自に開発する必要があるが、海軍ではできる限り全体あるいは部分につき市販のものが使えれば使うように心掛けている。

RDT&Eの結果、既に実艦に搭載されている期近用開発機器も多いが、海軍の最終目的はゼロ排出であり、この目的のためより進歩した機器を3〜5年の期間で実用化するための多くの革新的技術開発プロジェクトが進行中である。これ等の革新的技術開発は、DODの環境革新技術開発支援プログラムからの基金に基づいて行われている。

 

 

 

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