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2-4 連邦実施規則

 

米国の法律体系は、まず連邦議会で作られた基本的法律(Public Law)が米国法典(United States Code: USC)として種類別に整理登録され、USCの具体的実施規則である連邦実施規則(Code of Federal Regulation: CFR)が議会の指示する責任官庁で作られる。

USCの各法規はCWA、CAAといったポピュラーネームが付けられるのが普通であるが、更に特に有名なものはジョーンズアクトのようにニックネームで世に知られるものもある。

環境関係の場合、CWA、CAAの指示に基づき第1次具体的方針を立案する権限を与えられているのはEPAであり、EPAがCFRで示す基本方針に基づき更に細かい具体的方針、すなわち機器であれば仕様、設計、検査といったレベルのCFRを各所管官庁が作成する。

船舶からの海洋汚染について最終的な具体的方針を作成する権限を与えられているのはUSCGであるが、大気汚染については舶用エンジンの排ガス規制の最終CFRまでEPAが作成し、USCGはEPAの型式承認を得たエンジンについて搭載後の検査を所管するに留まっている。

 

CFRは膨大なものであるが、事項別大見出しと所管責任官庁の組み合わせ表示で容易に必要事項が引き出せるようになっている。船舶からの海洋汚染に関するCFRは、EPA所管の40CFR“環境保全”とこれを受けたUSCG所管の33CFR“航行及び航行可能水域(Navigation and Navigable Waters)である。なお、33CFRは、USCGと水路の浚渫を担当する米国工兵隊の2つの所管官庁の部分から成り立っている。

 

33CFRの中で特に本報告書に関係するのは、Part151からPart159までのサブチャプター“O”“汚染”である。米国海域における船舶からの海洋汚染は、最終的にこの8つのPartによって規制される(Part152は欠番)。

各Partの見出しは次のとおりである。

Part151 油、液体危険物質、ガーべッジ、一般又は産業廃棄物及びバラスト水を運搬する船舶

Part153 排出された油及び液体危険物質の除去時の汚染管理

Part154 油又は液体危険物質をばら積輸送する施設

Part155 船舶からの油又は液体危険物質による汚染の防止

Part156 油及び液体危険物質の移送作業

Part157 ばら積みで油を輸送するタンク船に対する海洋環境保護規則

Part158 油、液体危険物質、及びガーべッジの受入施設

Part159 舶用衛生装置

 

Part159舶用衛生装置(Marine Sanitation Device: MSD)について、40CFRと33CFRとの関係を見てみる。前述のとおり、Part159は40CFRで示されるEPAの指示に従ってUSCGが作成したMSD機器の基準である。

 

 

 

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