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OPA90のダブルハル化規定は、MARPOLに反映されないと意味がない。OPA90公布後、米国は主導権をとってMARPOL改正を働きかけた結果、MARPOL 73/78 附属書Iに13F及び13Gが追加された。OPA90では1990年6月30日以降の新造船に対して5,000DWT以下ではダブルハルあるいは同等システムを5,000DWT以上ではダブルハルを要求しているが、MARPOL 13Fでは1993年7月6日以降の新造船契約に対し600-5,000DWTの船にはダブルボトムあるいはダブルサイドを5,000DWT以上の船にはダブルハルあるいはダブルサイドと中間甲板の組み合わせ又はこれと同等効果の構造を要求している。MARPOL 13Gは、既存シングルハルタンカーの運用基準及び船齢25-30年での廃船を定めたものである。

一般に、OPA90 4115節はMARPOL 13F/Gより広い範囲、例えば油濁事故に対する賠償責任、対応義務、衝突が起らないための港湾における船舶航行システムの整備等多くの点について規定しており、石油業界は4115節に関連して莫大な出費を余儀なくされている。

 

MARPOL 13Gは既存の20,000DWT以上のシングルハル原油タンカー、30,000DWT以上のシングルハルプロダクトキャリヤーは船令が25年に達した時点で下記のいずれかの対策を施さない限り更に5年間の延長は認められず、船令を30年以上とするためにはダブルハルでなければならないと規定している。

*PL/DS(Protectively Located Tanks, Double Side)

*PL/DB(Protectively Located Tanks, Double Bottom)

*PL(SBT)(Protectively Located, Segregated Ballast Tanks)

*HBL(Hydrostatically Ballanced Loading)

OPA90では船令25年以上の船は廃船されるべきことが規定されているので、上記MARPOL 13Gの規定の如何にかかわらず船令25年以上のタンカーは米国海域より締め出される。ただし、MARPOL 13Gの規定を満足した船がルイジアナ揚貨基地あるいは特定貨油分荷基地のみを使用する大型船の場合は、船令30年までの使用が許される。

 

OPA90の油濁に対する規定の実施には期限が定められているが、ケミカルカーゴに対する対応規定には期限の定めがなく対策は後手になっていた。油濁問題が一段落した1996年5月、USCGはケミカルカーゴ対応の基準作りに着手し、1999年3月22日ケミカルタンク船からの汚濁対応に関するNPRMを発表した。本NPRMでは、規制対象の化学物資をCWAで危険物質と定められ40CFR116.4に記される175種に限定している。本基準は、全ての米国籍タンク船及び米国海域に入る全ての外国籍タンク船に適用される。

 

 

 

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