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13F及び13G規則は米国がエクソン・バルディーズ号のアラスカにおける油流出事故の結果成立させた1990年油濁防止法(Oil Pollution Act of 1990: OPA90)に基づきIMOに働きかけて新造及び既存タンカーに対しダブルハル構造導入を認めさせたものであり、米国の海洋環境に対する取組みを論ずる場合非常に重要である。

 

附属書IIはばら積みのケミカルタンカーに対する排出規制で、排出される有害液体物質を海洋資源もしくは人の健康に与える影響の危険度の大小順にABCDの4種類に分類している。4種類ともこれ等有害物質を含むバラスト水、タンク洗浄水、その他の残留物もしくは混合物を含めて海洋投棄が禁止されているが、各種類で定められた排出濃度及び排出量の条件を満たした場合に限り自航船にあっては7ノット以上、非自航船にあっては4ノット以上の速力で最も近い陸地から12海里以上離れた海面を航行中に喫水線下からの排出が許される。

 

附属書IIIは、国際海上危険物規程において海洋汚染物質と指定された物質(有害物質)を容器に収納して海上輸送する場合の基準であり、表示、標識、積付け、積載量の制限、漏出した有害物質の洗浄水処理等が規定されている。

 

附属書IVは、いわゆるブラック水といわれるトイレからの廃水、病室からの廃水、生きている動物を収容している区画からの廃水、及びこれ等区画からの廃水と混合した廃水に対する排出規制で、所轄官庁の承認する装置を使用して処理あるいは粉砕及び消毒を行っている場合は陸岸より4海里、行っていない場合は12海里以遠を4ノットで航行中に承認された排出速度で排出することが許される。

 

附属書Vは、船舶の通常の運航中の食事、生活及び運航に関連して生じる廃棄物、すなわち通常固形廃棄物と称されるものの排出規制で、合成繊維製ロープや漁網、プラスチック廃棄物の投棄は海域を問わず禁止されているが、特別海域外では浮遊性を有するダンネージ、ライニング及び包装材については25海里、食物屑及び他の全ての廃棄物(紙製品、布、ガラス、金属、ビン、陶磁器等)については12海里以遠での投棄が認められている。なお、これ等を25mmの網目を通過するよう粉砕あるいは圧縮処理した場合は3海里以遠での投棄が認められる。

 

附属書VIは、船舶からの大気汚染の防止規制で、燃料中の硫黄分、SOxの排出を規制する区域、成層圏オゾンを破壊するハロン及びCFC(Chlorofluoro Carbon)の使用期限、ディーゼルエンジンからのNOx排出規制、焼却炉による汚染された包装材やPCB等の有害物質の船上での燃焼禁止等を規定している。

 

 

 

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