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*陸にある発生源からの汚染

*海底における活動からの汚染

*深海底における活動からの汚染

*海洋投棄による汚染

*船舶からの汚染

*大気からの汚染

上記のほか、国連海洋法条約は稀少又は脆弱な生態系の保護及び保全、海洋への技術の利用、外来種・新種生物の導入規制、海洋環境への影響の監視及び評価等様々な措置を講ずるよう規定している。

 

本報告書の主題である船舶からの汚染については、国連海洋法条約制定以前から大規模な油流出事故が続発し、海洋汚染防止のための国際条約の必要性が認識されていた。1967年英国沿岸において発生したトリーキャニオン号の座礁による油流出事故を契機に、1973年IMO総会において「1973年の船舶による汚染防止のための国際条約」が採択された。しかし、この条約は技術的に未解決な問題を残しており発効の目途が立たないままタンカー事故が続発したため、所要の修正を施したうえ1978年に「1973年の船舶による汚染防止のための国際条約に関する1978年の議定書(1978 Protocol for 1973 International Convention for the Prevention of Pollution from Ships: MARPOL 73/78)」が採択された。

この条約は条約本体に加えて、次の6つの附属書によって構成されている。

*附属書I 油による汚染の防止

*附属書II ばら積みの有害液体物質による汚染の防止

*附属書III 包装積みの有害物質による汚染の防止

*附属書IV 船舶で生じる廃水による汚染の防止(未発効)

*附属書V 船舶で生じる廃物による汚染の防止

*附属書VI 船舶からの大気汚染の防止(未発効)

 

附属書Iは船舶による海洋汚染防止上最も重要な油による汚染を取り扱っており、最大の紙数が割かれている。油の排出については、タンカーが附属書Iで定義される環境保護特別海域にないことを条件に陸岸から50海里以遠を航行中でしかも油排出監視制御装置及びスロップタンク設備を作動させている場合に限り許可されるが、油分の瞬間排出量は1海里当たり30リットル以下でなければならない。また、排出される油分総量は現存船の場合貨物油総量の1万5千分の1、新造船の場合貨物油総量の3万分の1以下でなければならないと規定されている。

油タンカー及び油タンカー以外のビルジ油水の排出については船舶が特別海域にないことを条件に、附属書I第16規則の油排出監視制御装置及び油除去装置を作動させている場合に限り希釈しない場合の油性混合の油分濃度が15ppm以下であれば航行中の排出が許可される。

 

 

 

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