高速旅客船市場はPhilippine Fast Ferry Corporation(PFFC)社のほぼ独占であるが、同社は大型高速旅客船を売却し、小型の旅客船を購入する計画である。
2.1.3 フィリピンにおける高速旅客船の建造
現在フィリピンで高速旅客船を建造しているのは、セブのFBM社のみである。(同社はPFFC社を所有するAboitizグループの一部である。)フィリピンの他の造船所は従来型の客船を建造し、修理とメンテナンスを行っている。
FBM社は2隻のアルミ双胴旅客船をマニラのMt Samat社向けに建造したが、これらはオーストラリアのCrowther Design社の設計によるもので、価格は1隻200万USドル未満であった。その仕様は以下のとおり。
・28 × 8.5メートル
・乗客定員180名
・エンジンはCaterpillar製3412E型ツインスクリュー
・クルーズ速度25ノット、2,000rpm
しかし、FBM社はアルミ旅客船の分野では国際的な競争力はない。
2.1.4 市場の今後の見通し
日本のエンジンメーカーにとってフィリピンは有望な市場であると思われる。しかしながら、これはオーストラリア製の旅客船販売との関連性は少ない。
2.1.4.1 市場傾向の変化
これまで大型高速船に熱心であった旅客船事業者は、購入費及び運航費が高過ぎることから、近年はより小型船を購入する傾向にあり、小型船がフィリピンの「高速船」の主流となることが予想される。このことは、小型船に適したエンジンを提供する日本のエンジンメーカーにとって望ましい事業機会である。また、日本製エンジンは燃料効率が良く、信頼度が高いことも旅客船事業者にとっての魅力となる。