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グループ企業として、シンガポールに4つの造船所があるが、旅客船よりも作業船やタグボートの建造に力を入れている。中国にも造船所があるが、価格競争力がなければ購入する義務はない。タグボートの数隻には日本製のエンジンが搭載されているが、高速旅客船には、Caterpillar社、MTU社、MAN社製のものを使用している。

同社は、シンガポール市場における25ノットの旅客船の潜在性は限られたものであると考えている。乗客は、本当の高速旅客船(32〜35ノット)を好んでおり、他の旅客船よりも到着時間が遅い場合には不満を感じる。25ノットの旅客船は、エンジンが老朽化するにつれ21〜22ノット程度まで減速し、それでは乗客にとって遅すぎると考えられる。

親会社は日本製のエンジンについて良く知らず、新規のサプライヤーに変更するためには説得が必要である。(MTU社製エンジンの9千時間後のオーバーホールにかかる費用は、40万シンガポールドルであり、同社はこれを減らしたいと考えている。)日本製のエンジンについては、重量が問題で、追加重量が旅客船の均衡を崩し、運営費用の増加につながるのではないかと考えている。

結果として、同社はアセアンフェリープロジェクトに対してあまり積極的ではない。

 

2. 市場調査(第2フェーズ)

市場調査第2フェーズの目的は、フィリピン及びインドネシアにおける、日本製エンジンを搭載したオーストラリア製の中速旅客船の潜在的な事業機会を発掘することであった。また、両国での日本製部品の市場についても合わせて調査した。

 

2.1 フィリピン市場

フィリピンは中速及び高速旅客船の市場として充分な事業機会があると考えられる。毎年約5千万人の旅客船旅行者があり、旅客船事業者は、大型、高速旅客船をここ数年にわたり購入している。

 

 

 

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