フィリピンに輸入されている中古船の多くは日本製のエンジンを搭載していたが、MTU社の製品と交換された。日本製のエンジンはサービスサポートが充分ではないのに対し、MTU社はセブに事務所を構えサービス用の人員を配置している。
同社は、コンセッショナルファイナンスに支えられた新規高速旅客船の市場は存在すると考えているが、それは取引の内容次第である。日本製のエンジンは受け入れられるだろうが、そのためにはサービスを改善しなければならない。
同社の親会社はシンガポール、中国、ベトナム、インドネシアで多数の旅客船事業を行っており、アセアンフェリーの提案には興味があるであろうとのことである。但し、シンガポールの場合には、オーストラリアの船舶はシンガポールの海運基準を満たさなければならない。(オーストラリアでは4ミリの厚さの船体が認められているのに対し、シンガポールは6ミリなければならない。)最近オーストラリアに発注した3隻の船舶は、シンガポールの海運基準を満たせなかったという理由でキャンセルした。
・ACG Express Liner社(セブ)
同社はセブ〜トゥビゴン間で2隻の旅客船を運航しており、料金は片道100ペソに設定している。2隻ともブリスベンの造船所から現金で購入したアルミ製カタマランで、旅客定員は200名及び380名である。また、同社は中国からのRO-RO船及び韓国からのタグボートも運航している。
旅客船事業から得る収益は少ないが、同社はすでに3隻目をブリスベンの造船所に発注しており、引渡しを受ける。これには日本製エンジンが搭載されており、同社は日本製エンジンを優良と考えている。当面は新船舶購入の予定はないが、ファイナンスに関しては興味を持っている。しかし、融資はペソ建で、10年程度の長期間である必要がある。同社によると、新規旅客船の購入資金を通常の商業融資を通じて調達した場合、「すべての収入を利息の支払いに充てなければならないだろう。」とのことである。