労働者のコストは低いが、人件費は経費の10パーセント程度である。反面、燃料費はトンあたり231米ドルで、ヨーロッパの195米ドルより18.5パーセント高価である。また、部品の交換費用は、フィリピンの輸入税が高額なため、割高になっている。
同社の日本製エンジン導入に対する意見は否定的である。その理由は以下のとおりである。:
→ 重量が重すぎる。(1,500KWエンジンはヨーロッパの同等品と比べて50パーセント程度重い)
→ 欧米のエンジンと比較して洗練されていない。(日本の大型エンジンはMTUのライセンス生産で、旧来型技術を使っている。)
→ オーストラリアの高品質な高速フェリーは、350万から400万オーストラリアドルの値段であるが、日本製エンジンを搭載していると東南アジア以外での再販売価格が低下する。
PFFC社は、16シリンダーのMTUエンジン30基をもっており、3千時間の保証時間がすぎると自社でメンテナンスを行っている。現在所有のMTU社製エンジンやCatarpillar 3412エンジンで、問題があったこともあるが、社内にMTUエンジンのサービス・部品交換部門を設立するのに相当投資しているので、他のエンジンメーカーと取引するつもりはない。
PFFC社の市場は、Aクラス・Bクラスで、高速フェリーの中流サービス版のCクラス・Dクラスは市場として見ていない。PFFC社は、この市場については、地域の小規模の旅客船運営会社と提携して、PFFC社にとって経済性の低い航路のフィーダーサービスを提供してもらうことを考えている。この提携はSuper Cat Connectionsとよんでおり、PFFC社が、スタッフ、マネージメント、保守サポートを提供する。フィーダーサービスが使うエンジンをPFFC社でコントロールすることはできないが、PFFC社は自社で保守できないエンジンは使ってほしくないと考えている。
また、同社はコンセッショナルファイナンスには否定的である。MTU社を通じて8%で融資が受けられ、また、Aboitizグループの関連で、ペソ建ての融資は12%で借りることができる。旅客船を1週間運航停止することによるコストは、日本製エンジン搭載のフェリーの購入で節約できる利子をはるかに上回る。