3.1.4.1.2.1 企画型営業(プロジェクトプロポーザル)
欧米のエンジンメーカーは日本のエンジンメーカーと異なり、日本の大造船所のような存在がなく、エンジン単体を船主、造船所等に直接売り込んで行かなければいけない環境に長いこと置かれており、そのため多様な営業手法を開発している。特に、高速エンジンにおいては、需要者である船主が中小企業であることも多く、新造船発注が合理的に行われていない場合が多々ある。この辺りを合理的にし、新造船の発注をスムーズにするとともに、ファイナンスのリスク管理、アフターサービスの充実等に資するために、調査・企画段階から関与、若しくは提案を行いながら新造船(若しくは、中古船のエンジン換装)需要を掘り起こす企画型営業スタイル(プロジェクトプロポーザル)を取り入れている。
日本のエンジンメーカーは、このような新造船の初期計画段階から関与する体制はなく、上流部分での出遅れを許す結果となっている。仮に欧米並の対応を取ろうとしても、現状では、企業内、関連企業に、そのノウハウがなく、代わりに使用するコンサルタント会社の経費を先行投資的に負担することが難しい状況にある。これを変えるには、経営トップの理解が必要となってくるが、現実には、昨今の経営環境を反映し、大きなリスクを負うことに対して理解が得られない場合が多く見受けられ、これが競争力を低下させる遠因にもなっている。