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オーストラリア製大型高速旅客船の国際競争力は:

・価格−対価格性能比が高い。

・納期−生産ライン技術及び迅速な建造により納期が短い。

・性能−載貨重量、速力及び経済性の点から非常に優れた性能を有する。

・品質−非常に高い品質水準を達成。

 

高速旅客船及び作業船市場は供給側が小規模な造船所であり、船種が多様でまとまりのないものとなっている。これは、航路の特徴により異なる多様な輸送サービスを要求される事業者ニーズを反映している。高速船造船業界参入に対する障壁は低い。自動車及び航空機産業と対照的に、標準生産及び規模の経済性は成り立っていない。顧客は概して、標準品よりも価格が高くとも特注品を購入する傾向がある。

先進工業国では、経済及び利用者ニーズの変化と共に、ジャスト・イン・タイム方式等の時間ベースの経営により、海上輸送の高速化が迫られている。一方発展途上国では、高速海上輸送システムにより、観光等の産業発展と同時に地域内で高い移動性を持つ短距離連絡輸送の需要を満たすことができる。

従来の船舶と比較して、高速カーフェリーの利点は経済性、乗り心地、利用者利便、速力である(大型カーフェリーは、従来のものより耐航性がある)。高速化により、海上輸送が混雑した道路での自動車輸送より優位となる。

高速旅客船の世界市場は成長期あり、相当な市場機会が主要運航地域であるアジア及びヨーロッパ(全高速旅客船の70パーセントを占める)において生まれつつある。しかしながら、短期的には経済危機によりアジア市場における高速輸送サービスの拡大もしくは刷新の機会が制限される。

 

 

 

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