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オーストラリアの造船業はその重要性にも拘らず、他の製造業の多くと比較して小規模であり、直接雇用は約10,000人、売上高は約18億ドルとなっている。

また、このレポートでは民需造船業を対象としているが、オーストラリアでは軍需造船業も比較的規模の大きい産業である。政府の方針で主要な防衛契約へのオーストラリア業界の参加を促進しており、最近の建艦計画においては国内部品調達率70パーセントが目標とされ、達成されている。

 

2.2 民需造船分野

1960年代及び1970年代、オーストラリアの造船業界は多種の船舶を建造した。その大部分が鋼製であり、大型船舶もあったが、軍需用が多かった。殆どは国内市場向けであったが、政府助成を受けており、国際競争力はなかった。

その後、前述のように、1980年代、輸出向け造船が政府補助金の対象となり、輸出向け民需造船分野が大幅に伸びた。そのため、今日でも民需造船業は輸出志向が強く、業績は良好である。高度な製造技術と共に革新的な設計により、国際市場での成功に必要な高品質及び低コストを達成した。

今日のオーストラリアの造船業は次の三船種を得意分野としている:

・高速旅客船(カーフェリーを含む)

・豪華モーターヨット(舟艇を含む)

・パトロール船及び漁船等の小型鋼製船舶

 

2.2.1 高速旅客船

オーストラリアの民需造船業界は、特にアルミ製高速旅客船の分野での競争力が高い。オーストラリアは双胴波浪貫通型カタマランの設計、建造分野で世界市場をリードしている。過去2、3年、オーストラリアの造船所は生産高の90パーセント以上を輸出し、世界市場において大きなシェアを占めている。しかも近年オーストラリア造船所が海外競合造船所より低率の補助金しか受給できない中で成し遂げられた。オーストラリア造船所は同じ価格にて競合造船所以上の品質、性能の高速旅客線を建造することができる。

 

 

 

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