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オーストラリアの造船業界では、高速旅客船市場における技術的優位を数年にわたり経験してきた。しかしながら、技術革新の普及によりエンジン、推進系統、材料、設計が他の造船所の知るところとなったため、競争力の基盤に変化が起きつつある。政府補助金及び助成レベルの相次ぐ削減は、将来、個々の企業ベースの競争力がさらに重要視されるであろうことを意味する。このような状況の中、規模の経済性もしくは連続生産が達成でき、マーケティング力のある企業が優位にたつことになる。

1997年に世界中で引渡しされた高速旅客船の40パーセント(67隻のうち27隻)はオーストラリア製である(旅客定員50人以上、時速25ノット以上の船舶)。1995年、オーストラリアの高速旅客船世界市場占有率は売上隻数では上昇したが、トン数では世界市場の27パーセントを占め、イタリアと首位を分けあった。1998年5月における総トン数10,000トン未満の高速旅客船受注隻数では、オーストラリア、イタリア、ノルウェー、米国が現在の主要造船国である。

 

高速カーフェリーの国別建造隻数(1993年〜1997年)

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*日本(2)、スペイン(1)、カナダ(1)

 

これらの高速船市場は、サイズ及び速力を益々重要視しつつある。長さ120メートルのStena HSS 1,500は、現在就航中のもののうちでは最大である。Wild International社は、将来旅客2,500人及び車両700台の輸送能力を持った140〜150メートルの高速双胴船が開発されると予測している。受注船舶89隻(1997年1月現在)のうち54パーセントが長さ50メートルを超えることから、船舶の大型化傾向がわかる。2005年にかけて、既存船舶の代替及び新規航路開設による高速旅客船需要の増大が見込まれる。

1992年以降年間引渡し総隻数は65隻〜74隻であり、1996年及び1997年にはカーフェリーの引渡し隻数が著しく増加した。1989年末900隻、及び1997年末1,400隻という高速船の推定隻数に基づくと、成長率は平均年間5.6パーセントである。

 

 

 

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