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将来的には、A社は小型・中型船を中心とした4ストロークエンジンの推進システムの強化のみならず、ボア径500mmまでの2ストロークエンジンの推進システムも提供するようになるものと見られる。

最近の動きとしては、1999年、A社製造の4ストロークエンジンL27/38の初めての推進システムが発売されたが、その売れ行きは好調で、同社の中速エンジン市場における強さを改めて示した。このシステムには、新しい減速ギア・ボックスMGS37、新しいVBS可変ピッチプロペラ並びにAlphatronic監視・安全・制御システムが組み込まれている。

 

(3) Caterpillar MotorenとScana Industrierの提携

ドイツのCaterpillar Motoren(以下、「C社」という。)とノルウェーのScana Industrier(以下、「S社」という。)は、過去20年間の協力関係があるが、2000年9月、“MaK Propulsion Packages (MPP)”のブランド名で推進システムを協同で開発・供給することとした。この動きは、完全な推進システム及び統合されたエンジンルームの提供能力強化を求める国際市場の動向に対応しようとしたものである。MPPは、C社の中速ディーゼルエンジンとS社のギア・ボックス、プロペラ及び制御システムにより構成される。この協力は、新造船や改造プロジェクトの推進システム要求への対応能力を向上させたほか、包括的で船の一生を通したサービスと顧客の支援能力を向上させた。世界中の代理店ネットワークは、事業開発、ロジスティック及びアフターサービス支援の基本となり、S社の製品は、S社の技術上・販売上の支援資源の補助のもと、C社の全世界流通ネットワークを通して入手できるようになる。

MPPのイニシアティブは、C社及びS社の潜在的な市場を拡大し、推進システムに関する両社のリーダーシップを確立した。

システム全体としてのアレンジは、激しい競争にさらされている船舶運航者の大きな関心事項になってきているシステム信頼性を高めると言われている。

 

(4) MTU Friedrichshafen

ドイツのMTU Friedrichshafen(以下、「MTU」という。)は、2000年春に発注されたフランスの高速フェリー“NGV Liamone”にディーゼルエンジンとガスタービンの結合(CODAG)推進システムを設置した。このプロジェクトはMTUが商船向け統合推進システムを提供する初めてのプロジェクトの一つであり、MTUは1163ディーゼルエンジン、LM2500+ガスタービンに加え、発電機、ギアボックス、カップリング、軸、燃料・排気システム、電子制御・監視装置を提供した。

MTUは、「トータル・システム・アプローチは、推進システム構成機器のインターフェースやマッチングを効果的に実施するのに有利であり、特に高速フェリー建造では重要である。また、完成引き渡しは、造船所にとって一般的には安価で単純であり、時間の節約にもなる。」旨主張している。

”NGV Liamone”建造プロジェクトにおいて、MTUは機器の提供に加え、エンジニアリングサービスも提供した。

 

 

 

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