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d.新造船出力の最大値の推移(資料表4、図3参照)

資料表4及び図3は、各年毎の建造船舶搭載エンジン出力の最大値を船種別に示したものである。講演者は当初過去5年間、主機の出力は大幅に増加していると予想していたが、調査結果はそうではなかった。旅客船については大きな変動があり、RoPax船、高速貨物船及びパトロール船についてはほぼ一定であった。それゆえ、主機の最大出力に対する市場の要請は、安定しており、ほぼ一定であると結論付けられ、これは近い将来も同様であると思われる。さらにこれらのデータから、以下のような動向が見いだされる。

1] 最大出力は一定である一方、これらの高出力機関はより小さく軽く速い船舶に搭載されている。最大出力が横這いである理由の一つは、統計が供給ベースの数字であり、需要ベースの数字ではないことである。一般的に、より高出力の主機はより大きなプラントとなり、多くのスペースをとることとなり、小型の船舶への搭載はしばしば非現実的なこともある。

2] 高速貨物船市場に関しては、近い将来建造されるであろう100MWから250MWの主機を必要とするものが数多く設計されている。

3] 供給ベースでは主機の最大出力は一定であるが、高速船市場では、より高い単位重量当たりの出力及び単位体積当たりの出力の需要があることは明らかである。

 

e.新造船速力の最大値の推移(資料表5、図4参照)

資料表5、図4は、各年毎の建造船舶最高速力の最大値を船種別に示したものである。1999年まではほぼ一定であるが、2000年は高速旅客船とRoPax船で大きく増加した。各船種の現在の設計は、今後5年間に最高速力の限界を以下のとおり押し上げるものと思われる。

・高速旅客船:75ノット

・高速RoPax船:60ノット

・高速貨物船:40ノット以上

・高速パトロール船:50ノット以上

・高速ヨット:おそらく80ノット程度

 

(2) MTUのMr. Beinerの講演

a.長さ50m以下、速力30ノット以上の高速旅客船

・1993年以来、建造隻数は年間平均60隻(2000年は減少)。

・推進機関はディーゼルエンジンがほとんど。

 

 

 

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