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第3章 大型タンカーの主機関動向

 

大型タンカー市場における主機関の動向としてMAN B&Wの動向が、The Global Marine Engine Business(David Tinsley著)b)に述べられている。その概要は以下のとおりである。

 

MAN B&Wは原油輸送分野からの将来の要請に対し、広ボア径、低速のS90MC-Cシリーズの増大により対応能力の強化を図っている。

S90MC-Cの第1号は、2000年に、6シリンダーエンジンがギリシャのKristen Navigation向け300,000dwt油タンカー(大宇重工建造)に搭載された4。同船のエンジンは現代重工で製造され、出力29,340kW、回転数76回転/分である。6S90MC-Cは、Kristen向けの他、Embiricos向けの300,000dwt油タンカー2隻(大宇重工建造)にも搭載が決定された。

MAN B&WのVLCC向け推進機関としては7S80MCが主流であった。ストローク/ボア比が約3.54のS90MC-Cは、300,000dwt以上のVLCCで速力16ノット以上のものに対するタンカー運航者の関心の高まりを背景に開発されたものである。

タンカー主機の出力増加の要求に対応するため、S90MCとL90MCはS90MC-CとL90MC-Cとして最新化された。これらの型式の様々なモデルは出力がほぼ同じであるが、ストロークの長いS90MC-Cは、回転数がより遅く、より大口径のプロペラとの組み合わせに適している。ボア径900mmの型式は、回転数が公称76回転/分であるが、減速時は61回転/分まで落とすことが可能である。S90MC-Cの燃料消費量は最大出力(76回転/分)で123 g/bhp-hrである。

 

4 Fairplay Ship Register 2001(2001年1月末のデータを収録)によれば、2000年7月に第1船が、11月に第2船が竣工、残り3船が、2001年5月から2003年3月にかけて竣工予定。

 

 

 

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