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第2章 コンテナ船の主機関動向

コンテナ船市場における主機関の動向が、The Global Marine Engine Business(David Tinsley著)b)に述べられている。その概要は以下のとおりである。

 

コンテナ船市場は、需要供給バランスに敏感な他の船舶市場とは異なり、建造量が着実に増加している。

コンテナ船市場においては、大量輸送によるコスト削減が追求され続けており、新造コンテナ船の大型化が進んでいる。2000年央に就航若しくは建造中、又は発注済みのポスト・パナマックスコンテナ船は、コンテナ輸送能力の約20%を占めた。これまで発注された最大のポスト・パナマックスコンテナ船は7,000〜8,000TEUのクラスであり、Hapag-Lloyd'sは現代重工に7,200TEU(速力25ノット、主機:12K98MC(68,640kW)、1基1軸)のコンテナ船4隻を発注し、現在建造が進められている。MAN B&WのK98MCは、2000年現在、最も馬力のあるディーゼルエンジンである。

2000年の春までに、ポスト・パナマックスコンテナ船の発注は100隻を超え、MAN B&WとWartsilaは、それぞれK98MC/MC-CとRTA96Cを50基以上販売している。

 

12,000〜12,500TEUのコンテナ船の登場も近い将来予想される。現在の最大のコンテナ船に比べ、コンテナ積載能力が55〜60%増加するが、スエズ運河を通航し、主要港湾にアクセス出来るであろう。MAN B&Wの副社長Mr.Ole Groneによれば、14シリンダーのK98MCで有効圧力19barのものを製造することが可能であり、したがって、約100RPM、81,000kWの推進機が可能であり、12,000TEU、27ノットの単一ディーゼル機関のコンテナ船が数年後に建造可能となると予測される。

Lloyd's Registerの超大型コンテナ船の研究では、12,500TEU(速力25ノット、長さ400m、喫水14.7m)のコンテナ船について、3つの推進システムを検討した。2ストロークディーゼルエンジン1基1軸のシステムでは、約90MWの出力が必要であるとしている。この他、2基2軸のシステム及び1基の主機と2基の20MW電動機格納式電気推進装置(podded electric drive)により構成されるシステムについて検討している。

 

さらに大型のコンテナ船として想定されるのが、マラッカ・マックスのコンテナ船であるが、積載量は15,000〜18,000TEUになるものと予想される。この船舶の実現は、メガ・ハブ構想と密接に関連している。18,000TEU、25.5ノットのコンテナ船であれば、18シリンダーのK98シリーズ(103MW)又は12シリンダーのボア径のより大きい新型エンジン1基で対応できる。MAN B&Wは18,000TEUコンテナ船の2基2軸推進システムとして、2基の9シリンダーK98MC-Cを提案している。

 

2ストロークディーゼルエンジンのライセンサーMAN B&WとWartsilaは、現在の最大ボア径のエンジン(K98MC(MAN B&W)、RTA96C(Wartsila))により、当面予想される出力要求に対応できると考えている。

 

MAN B&Wは、低速2ストロークエンジンで採用されれば新しい展開となるV型をK98MC/MC-Cの14シリンダー及び16シリンダーエンジンについて研究してきた。従来の直列型と比較したV型エンジンの主要なメリットは、重量を15%低減できることとエンジンの長さを大幅に短くできることである。

 

 

 

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