しかし極東の造船所のアプローチはやや柔軟性に欠ける。すなわち自動車の製造のような考え方で、原仕様を変えたがらないのである。一つのプロセスを一旦始めると止めることができない。RoPaxのような複雑な船ではプロジェクトの初期の段階では一般仕様書より詳細なものを用意することはできず、造船所を選定した後に、原仕様を変える必要性が生じるのが通例である。詳細仕様を決定するためには、船社側の造船技師が選定された造船所と打ち合わせなければならない。
距離が遠いことは不利に働く。極東の造船所に発注すれば船主は連絡にそれだけ費用が掛かり、また社内の造船技師が一定期間、造船所に駐在しなければならないので、その分だけ必然的に、低い船価を求められる。
RoPaxの建造能力、少なくとも複雑な船を建造する能力が実証されている造船所を好む傾向は明白である。