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新世代のRoPaxが欧州市場に及ぼす影響

 事業名 基盤整備
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


船上の免税品販売は、1960年代と70年代に拡大を遂げて以来、フェリー船社の収益の大きな要素となり、フェリー自体も船上のショッピングを船の魅力的な特色とするように設計されるようになった。EU域内では、このような免税販売は関税同盟として明らかな変則であり、特典の廃止は予てから時間の問題に過ぎなかった。船上の免税販売が廃止されること(あるいはその予定を利用者が知ったこと)による大幅な魅力の低下から、オペレーターはそれに代る補完的収入源を求めざるを得なくなった。そこで自社の貨物専用船で同じ航路を動いている貨物が次善の策であると考えている。

北部ヨーロッパのオペレーターは、免税販売の廃止と航空運賃の値下げが重なって特に打撃を受け(これはイタリアではまだ発生していない打撃である)、さらに英仏海峡では海峡トンネルの建設による船腹過剰に悩むことになった。

EUが道路から水路へのモーダル・シフトを奨励した動機は、短距離航路への集中を緩和するとともに、道路利用全般を緩和しその分を海路に振り向けようというところにある。鉄道利用の複合輸送を奨励する同様な政策も、拡大を続ける道路輸送量に直面して、社会と環境への悪影響を最小限に抑えようとするものである。道路から水路へのモーダル・シフト政策の結果、例えば週末のトラック運行制限の延長や有料道路料金の値上げなどが予想される。

将来、道路輸送と競合して、例えば最近開通したバルセロナ/ジェノバ間の航路のように、近海(SSS)沿岸航路が発展し、中小航路が開設されれば、RoPaxに活躍の機会が出てくる。運航速度の高いRoPaxはリスボン/イギリス航路を36時間でカバーできるもので、低速のコンテナ船や高料金の道路輸送に対抗するとともに、バカンスを楽しむ旅客にも新たな選択肢を提供することになる。

 

紛争

旧ユーゴ内戦の影響で、アドリア海岸のギリシャ(RoPax)、トルコ(RoRo)の港とイタリアの港を結ぶRoRo航路がいくつか新設された。これらの航路は長距離のTIR(国際道路輸送)に取って代った。重要なルートで同種の紛争が発生する可能性は低いと思われるので、これらの政治的要因から生じた近海輸送指向が、政治状況が正常化した後に逆転するか否かが主要課題となってくる。

 

1.3 RoPaxの未来

ヨーロッパにおける新造船市場とは、すなわち個々の航路における運航について下される意思決定の総和であり、最近における新造船の波は、新造船に資金を投じると決定した、主として長距離航路のギリシャ船主がもたらしたものである。北部ヨーロッパから中古船として購入した既存船の代替を次に実施する船主の新グループは、Cotunav(チュニジア)とCNM(モロッコ)を始めとする、地中海横断航路の船主と見られる。北ヨーロッパの中小航路でも従来から転配されたRoRoを購入してきたので、これらの航路の船主も新造船(RoPaxではないが)発注の予備軍と考えられる。こうした動向から、フィリピンやインドネシアなどヨーロッパ域外に売却される中古船の比率が上昇する可能性がある。

RoPaxによる輸送の発展は、他種のフェリーもその恩恵に浴している貨物と旅客の一般的増大の一面であり、ヨーロッパ域内輸送の伸びと、道路から水路へのモーダル・シフト、周辺地域と中央部との交通手段の改善など、EUの政策によって促進されている。これらの影響はもちろん主として貨物輸送に対するものである。高速化によって旅客が耐えられる距離が延長されるという側面はあるが、旅客は航海時間が長くなることをあまり歓迎しそうもない。

 

 

 

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