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(参考 1)

MarAd(米国運輸省海事局)の勧告の概要

 

1 商船に対する敵対行為は現在の、そして増加しつつある問題であり、敵対行為には海賊行為、窃盗及びテロが含まれる。

2 敵対行為に対処するため、多くの国内機関及び国際機関が関与しているが、敵対行為を監視するための最初の手段は、どこで、どの程度の行為が発生したかを特定するためのデータベースの確立である。米国において、敵対行為に関するデータベースを運営している機関は、「国立写像地図局(National Imagery and Mapping Agency: NIMA)」であり、会社や船舶は、通信料金を除き無料で、情報を送り受け取ることができる。

3 NIMAには、米国商船に対する敵対行為について、米国政府内に情報を伝達する手順が定められている。

4 ただし、NIMAのデータベースは緊急警報ではない。攻撃を受け、あるいは攻撃の脅威にさらされた米国籍船又は米国支配下船舶は、米海軍に直接的な支援を求めることができる。

5 国際海事局(IMB)、国際海事機関(IMO)等は、クアラルンプールに地域海賊センターを開設した。センターは、海運業界と保険業界からの募金によって運営され、無料で24時間利用できる。センターは海賊と疑わしい小型船の動向について報告を受け取り、域内航行船舶に対する警戒警を発令し、関係海上保安機関へ警告を発している。センターの警報や海賊に関する定期的な報告は、太平洋地域のINMARSAT-C衛星の安全ネット・サービスを介して受け取ることができる。

6 海賊乗船の阻止や窃盗行為防止のため、様々な効果的な対抗手段が用いられてきた。海賊に対する対抗手段には、船舶保安計画の策定、訓練と危険海域へ接近する際の使用がある。一般的な措置は、以下の通りである。

(1) 油断するな、常にトラブルを想定せよ。

(2) 全乗組員に対し、一般警報(非常配置や退船を命令する場合に用いる最高レベルの警報伝達手段)を使え。

(3) 海上と港湾にいる間は、乗船されやすい場所に、直ちに使用可能な消防ホースを配備せよ。

(4) 危険海域航行中と危険港湾停泊中は、船首部、舷側通路部、後部甲板を照明せよ。

(5) 船舶後尾も含め、レーダーと目視による良好な見張りを維持せよ。

(6) 直ちに使用可能な信号装置と通信装置を配備せよ。

(7) 航行安全上可能な限り、速力を維持し、あるいは増速し、操縦性を確保せよ。

(8) 乗船者が武装している場合は、英雄的行動をとるな。

7 運航管理者は、この勧告を船舶、港湾ターミナル及び保安責任者に適切に配布すること。勧告の更新などについては、MarAdに問い合わせること。

 

 

 

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