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これには、周辺の保安の向上、船舶への無許可車両の接近の防止、荷物のX線によるチェック、警備員の訓練がふくまれている。

 

1998年にUSCGは米国港湾を利用するすべての旅客船に保安策を講じることを義務づけ、すべての旅客ターミナルに対テロリスト、対テロ攻撃対策を講じることを義務づける規則を公布した。同規則は1998年11月に発行した。クルーズ会社及びクルーズ・ターミナルは、保安計画を提出し、USCGの承認を受けなければならない。これらの計画は機密扱いになっており、USCGはこの情報について、米国情報公開法による情報公開を免除されている。

 

最近では、対テロ港湾保安向上のための基準及び手順を定める法案が議会に提出された。同法案(S.2965)は、MarAd、USCG、税関局、国防総省、FBIからなるタスクフォースの設立を義務づけ、このタスクフォースが港湾、マリンターミナルに対する保安ガイドラインを制定し、このガイドラインを実行に移すために地元に港湾保安委員会を設立するものであった。

 

6. 結論

 

海賊行為は世界中、特に東南アジアで増加しているが、米国内または米国所有船が海賊被害にあった事例は比較的少ない。その結果、海賊問題は米国の政策担当者の間であまり関心を引いていない。また、国際協力を通して問題に対処する差し迫った必要性もないのが現状である。

現時点、6つの連邦機関が海賊対策の何らかの部分に関っている。しかし、これらの機関の間には協調関係はほとんどなく、この問題についての方針を決定し、実行する責任を負う単一の政府機関は存在しないようだ。

 

海賊問題に対する米国の対応を改善するように求める声も上がっている。米海軍の準公式出版物は、沿岸国において海賊取締まりの法制が整っていない場合は、IMOのような国際機関が海賊を追跡、訴追する権限を与えられるべきだと提言している。共和党新政権と密接な関係にあるヘリテージ財団によるポジション・ペーパーは、沿岸国政府に海運に対する攻撃に対抗することを奨励する努力を進めるよう提案している。

 

 

 

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