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プリンセス・クルーズのような会社は、南極を除くすべての大陸で300を超える港湾に寄港する。この拡大する市場を満たすために、クルーズ船社は巨額の投資を行っており、その結果、ルートを慎重に検討し始めた。アキレ・ラウロ号乗っ取り事件のようなテロにより、業界に傷がつくことを危倶し、クルーズ船社は寄港地の相対的安全性、保安度を慎重に検討し、不当なリスクを伴う港湾または、近隣の港湾と比べてリスクの高い港湾への寄港をいつでもキャンセルする準備はある。

 

出典:海事保安会議「海上保安についての国際的見解」

 

同じ論文集の中のもう一つの文献では、米国情報機関が海上テロに対応する能力について触れている。USCG職員によるこの文書によれば、海上テロ対処能力は不足している。

 

1980年代に情報機関が全体的に拡大したのに伴い、海上テロその他の海運に対する脅威に特定の関心を持った情報機関も拡大した。皮肉にも、海上の脅威についての情報を一般に普及させる責任を負う機関は情報機関ではなく、脅威についての情報を受け取っている情報機関と非公式の繋がりしか持っていない。一刻を争うような海上テロ危機が発生した場合、公式の報告網が欠如していることにより、混乱が発生し、また、必要な手段を講じられないという事態が発生する可能性がある。

 

出典:海事保安会議「海上保安に対する情報支援:努力の更新」

 

業界誌であるクルーズ・インダストリー・ニュースに、現在米国の警備保障システム会社と関係している元FBI捜査官が、クルーズ船に対するテロの可能性についてコメントしている。彼の見解では、「現在、クルーズ産業は様々な脅威に直面している。麻薬、密航者、破壊行為、妨害活動、窃盗、暴力行為。しかし、経済的に壊滅的影響を及ぼすひとつの脅威がある。それはテロリズムだ。」彼は、さらに、テロの可能性を制限するためのクルーズ船上の保安度を高めるプログラムを提案した。

 

 

 

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