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また、マルクス主義、社会主義のような左翼テロリストグループの数は減少し、それに代わって、国家、民族、宗教に基づくテロリストグループが増加した。

 

テロリストは、固定され、監視しやすい目標を攻撃することを好むが、依然として少数の海上テロは継続している。例えば、いくつかの中東テロリストグループは、ダイバーやイランやリビアにより提供される水中戦闘訓練を通して海上攻撃能力を維持している。文化的に海に馴染の深いグループにとっては、海上攻撃力を開発する方が簡単である。スリランカの「タミルの海の虎」やフィリピンのAbu Sayyanグループは、活動資金集めを目的とした海賊行為はもちろん、複数の海上テロ事件を起こしている事例である。将来、テロリストが急速成長を遂げているクルーズ産業を新たに格好の標的とすることが懸念される。

 

暴力的な海上犯罪により引き起こされる多大な経済的損失、多大な人命の損失、または環境被害が大きく取り上げられることにより、沿岸国が連携して海上での法執行を行うことを強いられるであろう。米―キューバ対ハイジャック協定、マレーシア、インドネシア、シンガポールの反海賊協定は、海上犯罪を攻撃する多くの協定の先駈けとなるかもしれない。しかしながら、開発途上の沿岸国家の多くの誇りと、自信過剰、主権問題を克服してはじめて、国際協調による法の執行が成功するのだ。

 

出典:海軍情報局、USCG情報コーディネーションセンター、「海上安全保障に対する脅威と問題2020年」1999年3月

 

海事保安会議(Maritime Security Council)のディレクターによれば、クルーズ船社はテロリズムの可能性について十分承知している。海上保安問題を扱った論文集で、海事保安会議ディレクターは次のように述べている。

 

特に、クルーズ産業は、旅客数及び寄港港湾数が劇的に増加している。本稿は、旅客船を念頭に置いたものである。クルーズ船側がタラップから船上に至るまでの全ての警備保障を担当し、タラップから陸上の警備保障は港湾側が担当するというのは周知である。

 

 

 

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