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当該国政府による適切な処置には、海上保安機関職員及び警察官に十分かつ競争力のある給与を与え、海賊行為への参加や加担のインセンティブを低減することができるだけの十分な予算を自国の海上安全保安機関に提供することが含まれる。

 

議会は、USCGが外国の海上保安機関に対海賊戦訓練を行うための予算を承認するべきである。東南アジア各国は様々な組織をもって海賊対策に当っている。海軍、沿岸警備隊、海上警察、港湾警察、税関当局等である。権限、組織、経験、能力からして、USCGは、多種多様な各国の海上保安機関が適切な海賊対策を決定し実施するのに対し、支援するための最適な米国政府機関である。

 

出典:ヘリテージ財団バックグラウンド・ペーパー「アジアにおける海賊問題:増大しつつある海運障壁」No.1379、2000年6月22日

 

この政策提言が新政権によって採用されるかどうかはわからないが、過去にヘリテージ財団は海事政策に重大な改革をもたらす契機となった前歴がある。1981年に同財団は、海事助成に関するポジション・ペーパーを作成し、これが当時のレーガン新政権の海事助成プログラム改革のガイドとなった。ヘリテージ財団の見解がブッシュ政権の政策に重大な影響を与えることは十分ありえる。

 

5. 海運に関連したテロ防止策

 

港湾、水路、海事施設に対するテロ攻撃の危険性に対する米国の意識が高まってきている。この危機感を反映して、クリントン大統領は、犯罪・港湾保安委員会を設立した。運輸省(MarAdおよびUSCG)と財務省(税関)がタスクフォースのメンバーとして、法務省(FBI)と共に議長を務めている。1999年9月に議会に提出された報告書で、運輸長官は委員会に、海事テロ防止対策としていくつかの対策を取るよう提言した。主要問題としてあげられたのは、港湾及び船舶に関連した組織犯罪及びテロの脅威の増大であり、米国が軍事展開要件を満たす能力に影響を与える可能性があるとされている。

 

 

 

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