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これらの活動は、海運業界から評価されている。しかし、今まで、港湾そのものに向けた保安ガイドラインを作成する努力は米国もIMOも行っていない。海賊被害の70%以上が港湾内で発生しているのにもかかわらず、国際的に認められた保安ガイドライン(航空産業により配布されいているガイドラインのようなもの)が港湾管理者に配布されたことはない。

 

アジアの港湾及び海域が安全であることを海事業界に納得させるためには―保険料及び運賃の引き下げにつながれば、有益な効果がある―行政府と議会は、米国の貿易相手国と同盟国が海賊問題に対抗することを助けるための、目立たない、コストのかからないいくつかの手段を講じるべきである。

例えば

 

国務省は、海賊行為が多発している地域の沿岸国政府に対して、海賊対抗策のすべてを広く公開し、犯罪者は必ず逮捕することを明白にし、共謀の疑念を晴らすように提言するべきである。さらに、沿岸国政府は、海賊対策を講じた結果、領海内における商船に対する海賊行為が減ったことを証明するべきである。このような証拠がなければ、当該国向けの海運運賃は上昇を続け、通商を妨げ、当該地域国家の政府の海事安全保安部隊の能力と合法性の評価は低下を続けるであろう。

 

行政府は、具体的な港湾保安策を提言する責任をIMOが負うことを奨励すべきである。IMOが配布した提言等に基づき、船社及び荷主は海賊による強制的な乗船を防止するために講ずることのできる予防策―武装警備員の使用を含む―を認知はしている。しかし、港湾が基本的かつ国際的に認められた保安対策を実施しない限り、港湾は海賊の恰好の標的となる。

 

行政府は、(特に東南アジアの)各国の海上安全保安機関の抜本的改革を奨励すべきである。今日発生している海賊行為の相当な部分において、これらの軍/警察が共謀している可能性が非常に高いため、ワシントンはこれらの国々が汚職防止の具体的な対策を実施する前に、直接支援を行うことは避けるべきである。

 

 

 

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