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今後の展望としては、ブッシュ政権は海賊対策についての他国政府との協力に、前政権よりは関心を示す可能性がある。非営利のシンクタンクであるヘリテージ財団は、国家安全保障に影響を与える問題を扱ったバックグラウンド・ペーパーを作成しているが、最近海賊問題についての報告を発表した。同財団は共和党保守派と密接な関係にあり、ブッシュ政権が指名した閣僚の中にも同組織出身者は多い。例えば、労働長官に指名されたエレーン・チャオは過去数年間ヘリテージ財団の特別研究員であった。2000年6月に、「アジアにおける海賊問題:増大しつつある海運障壁」と題する調査報告がヘリテージ財団により発表された。同報告書は、アジアにおいて海賊被害が増加しており、海賊問題は貿易に対する非関税障壁となっている、としている。同報告書は、現地政府に、海運に対する攻撃と闘い、地域の海上保安力改革を行うよう奨励する米国の努力を強化すると同時に、USCGに外国の海上保安機関に対し、対海賊戦の訓練をほどこすための予算を提供するよう提案している。以下にヘリテージ財団の調査報告の概略を記載しておく。

 

ワシントンの対海賊策

 

クリントン行政府が海賊問題と取り組んできたことは認めるが、港湾における海賊問題対策は依然として不十分である。例えば、国務省とUSCGは、海賊、強盗についての地域セミナー及びワークショップに参加し、IMOの回章文書(IMO Circular 623)の作成に寄与した。

 

IMO回章文書では、船舶の攻撃されやすさを減じるために、締約国政府、各国機関、海運産業が講じることのできる具体的対策を提言している。例えば、一部の国で両替規制があるため、船上の金庫に多額の現金を備えざるを得ない現状に対して、当該国に柔軟なアプローチを取るよう提言している。また、別の回章文書では、船長は船舶保安計画を採用するよう提言し、保安計画の要素と、実施方法について助言している。

 

 

 

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