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米国内航ジョーンズ・アクト船腹を構成している船舶は、米国政府から運航助成、建造助成を受けておらず、完全に米国海事企業による民間資本投資を通じて支援されている。現在までに、これらの民間投資は約260億ドルに達している。この投資は米国経済に約150億ドルを注入し、そのうち40億ドル以上が米国市民に対する直接賃金である。ジョーンズ・アクト産業が支える下流産業における何千人もの雇用及び、ジョーンズ・アクト関連所得が落とされる地域コミュニティによって、経済的影響はさらに拡大する。実際のところ、米国籍内航船隊は、124,000人の米国人に直接雇用を提供している。これには80,000人の商船船員、44,000人の造船所その他の陸上雇用が含まれる。これらの労働者の生活はジョーンズ・アクト船隊の44,000隻の船舶及びバージの建造、修理、保全、補給、運航に直結している。

有権者である米国市民が、ジョーンズ・アクトから恩恵を受けるだけでなく、国庫、州公庫も恩恵を受けている。民間所有の米国籍内航船隊の建造及び運航から、国庫には法人税として年間約3億ドルが発生し、州税収入として年間約5,500万ドルが発生する。米国籍内航船上で勤務する米国人労働者と、関連国内産業は、年間約11億ドルを連邦所得税として支払い、さらに2億7,200万ドルを州所得税として支払っている。外国籍船舶及び外国人船員が米国内航に参入することを許されれば、我が国の連邦政府、州政府はこれらの収入を失うことになる。

ジョーンズ・アクトは多くの重要でコスト効率の良い国家安全保障上の利点を提供している。国際的有事の際に、ジョーンズ・アクト船隊は米国港湾間で信頼性の高い、安全性の高い商品輸送を確実に提供し、海外における軍事活動を維持するのに必要とされる国内経済基盤を支援する。また、政府所有及びその他の民間シーリフト国防資源の効果的かつコスト効率のよい補助船隊としての役割を果たすことができる。平時にジョーンズ・アクト船舶に配乗されている米国人船員は、過去にも例があるように、国防総省のために緊急大量輸送及び維持のための船舶の乗り組み員として動員することができる。

外国海運業者やその代弁者の主張に反して、ジョーンズ・アクトが存在しなければ、外航籍船舶―ほとんどすべての米国法、納税義務、責任を免れている―は、米国籍船舶だけでなく、米国のトラック、鉄道、パイプライン輸送産業に対して、不公正な競争を仕掛けることが可能である。

 

 

 

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