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4) 1996年沿岸海運競争法案(S. 1813)

 

提出日:1996年5月23日

提出者:ヘルムズ上院議員

共同提案者:グラスレー上院議員、バーンズ上院議員

 

1996年5月23日に、1996年沿岸海運競争法案として知られるS. 1813が上院に提出された。同法案は、米国本土港湾と、グアム、ハワイ、アラスカ、プエルトリコの港湾間の航路を適格の外国船舶に開放するものであった。同法案はまた、沿岸、海岸間、島嶼(非隣接)航路における米国所有、米国建造要件を廃止した。ジョーンズ・アクト支持派、改革派の両サイドが自らの立場を擁護するために駆けつけ、S. 1813の提出によりジョーンズ・アクトに関する少なくとも2回の公聴会の開催が約束されたのである。

ジェシー・ヘルムズ上院議員(共和党ノースカロライナ)は、S. 1813の提出によりジョーンズ・アクト論争の舞台に登場した。海運産業に長年批判的であったチャールズ・グラスレー議員(共和党アイオワ)が参加し、ジョーンズ・アクト叩きにヘルムズ上院議員が参加したことにより、議論の政治的風向きが完全に変るだろうと期待する向きもあった。それまで、ジョーンズ・アクト支持派は、内航規制は国家安全保障上重要な役割を果たしていると主張し、同法の擁護に成功してきた。この観点は、1996年の海事内航研究会(Maritime Cabotage Task Force)の報告書に明確にあらわれている。しかし、ヘルムズ上院議員は国防問題でタカ派という定評が高かったため、ジョーンズ・アクト改革派はついに国家安全保障議論から解放されたかもしれないと感じたのである。

多くのジョーンズ・アクト支持派は、ヘルムズ上院議員がS. 1813の持つ意味を完全に理解していなかったのだと確信した。同法案が及ぼす影響を完全に理解したら、同上院議員はジョーンズ・アクトを弱体化する法案に対する支持を撤回すると考えられたのである。当時メリーランド州議員だったヘレン・ベントレーは、海事労組の強力な支援者であり、上院法案成立の見込みなしと見ていた。ヘルムズ上院議員は法案の説明を受けておらず、ブリーフィングを受ければ、「これまでの提案者と同様に、手を引くだろう」と同議員は予言した。

それにもかかわらず、法案提出によりジョーンズ・アクト改革議論に新たな生命が吹き込まれた。

 

 

 

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