1) 内航制度のGATT違反対象からの除外(H.Con.Res. 376、S.Con.Res. 166)
提出日1988年9月27日
提案者:W. ジョーンズ議員
米国建造、米国人配乗、米国籍船舶の沿岸運航を保護する内航法及びその他の海事促進プログラムに対する強い支持を表明し、行政府に可能な限り強い言葉で、海運サービス開放をGATT貿易協議で提案しないように、また外国がそのような提案を行った場合は米国は拒絶するように促す両院同一決議案。28
ウォルター・ジョーンズ下院議員(共和党ノースカロライナ州)は、GATT協議において海運活動が「サービス貿易」の範疇にあると見なすような提案はすべて、これを提出することを控え、外国政府による同様の、または海運制限に結びつくような提案はこれを拒絶することを行政府に促す両院同一決議案を提出した。同決議案には108名の議員が共同提出者として名を連ね、行政府に海運をGATTによりカバーされる産業活動に含めることを避けるよう説得を試みたものであった。海運がGATTの適用対象となれば、提訴の対象となる現行の内航海運規制を維持するためであった。同決議案は委員会を通過しなかった。
同様の決議案が、過去10年間にほとんど毎期のように提出されている。議会は一連の国際通商協議を通じて、一貫して内航規制維持と米国造船産業の保全の姿勢をとっている。
28 決議案(resolution)には、両院合同決議案(joint resolutiom)、両院同一決議案(concurrent resolution)、単独決議案(simple resolution)の三種類がある。両院合同決議案は、上院、下院のいずれからも提出することができる。合同決議案は通常の法案とほぼ同様の審議過程を経た上で、大統領の署名により法として成立する。両院同一決議案は、上下両院に運営に影響を与える案件について提出される。同一決議案、単独決議案は大統領の承認を受けるために提出されることがないため、通常法案とは認められず、両院の事実、原則、意見、目的を表明するだけのために利用される。同一決議案は法案ではなく、その運用範囲は非常に狭いものである。合同、同一という言葉は使われているが、上下両院で同時に提出される必要はない。下院から提出された同一決議案は「H.Con.Res」と呼ばれ、上院から提出されたものは「S.Con.Res」とされる。一院のみに関る規則、運営、意見等の案件は単純決議案として提案される。
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