日本財団 図書館


現時点では、段階的廃止対象となっている内航プロダクトタンカー及びタグバージの約3分の1が代替建造されると考えられる。沿岸タンカーの需要を制限している一つの要素は、国内石油精製所への原油供給パターンの変化である。東海岸が国外の精製所から石油製品を輸入する割合は年々増加している一方で、メキシコ湾岸の精製所の製品は中西部市場に流れる傾向が強まっている。また、メキシコ湾岸の石油精製所とフロリダを結ぶ2本のガス・パイプラインが建造中であり、メキシコ湾岸を横切っての石油製品輸送の需要は減少することも考えられる。

これらの要素を考慮して、今後10年間に10〜12隻のプロダクトタンカーの受注が見込まれる。このうち約半数は2005年までに発注されるであろう。発注される船種は、従来型40,000DWTプロダクトタンカーまたは同等の積載能力を有する一体型タグバージのどちらもありえる。

今後数年間に内航資格のあるシャトルタンカー市場が新たに発生するであろう。これはメキシコ湾において、既存のパイプラインインフラストラクチャーの稼動能力域外に浮体式生産システムが設置されている結果である。シャトルタンカーはこれらの生産施設からの原油をメキシコ湾岸沿いの精油所に輸送するために必要となる。当該輸送は、外洋大陸棚(OCS)上の一点から米国内の一点への輸送となるため、内航と見なされ、当該航路で運航するシャトルタンカーは米国建造の米国人所有米国商船でなければならない。

鉱物管理局は最近、2010年末にはパイプラインに接続されていない浮体式生産設備(FPSO)がメキシコ湾で最大5基稼動している可能性があるという予測を発表した。さらに、FPSO一基につき、「最大限に稼動した場合、年間約110回の積み出し、シャトルタンカー輸送が発生する」と見積もっている。FPSOと製油所ターミナルの位置によるが、1隻のシャトルタンカーで1基のFPSOの積み出し作業を扱うことが可能であり、5基のFPSOならば、単純に考えてシャトルタンカー5隻が必要となる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION