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実際、初めてボートを所有した者が、当初の見積もりを上回る維持費と保管費のために、数か月後には、マリーナの管理者に使用料の割引を求めるようなケースが多発している。

したがって、マリーナの存在がボートの所有状況と利用に及ぼす影響には、プラスの面とマイナスの面があり、マリーナの利便性によりボートを使う面倒が省略され、ボートの利用が促進される一方、ボートのマリーナ保管のための追加費用によりボート関連の支出が増えてしまい、遂にはボートを処分するという事態を招来することにもなってしまうのである。

 

2.6 マリーナの将来見通し

豪州におけるマリーナの将来展望は、いくつかの要素に左右される。

 

→ 経済動向と消費者マインド

今後景気が後退すれば、ボートの所有率とマリーナのバースの利用率に決定的な打撃が及ぶ。消費マインドが減退すると裁量支出が縮小し、その場合、最初の削減対象はボート及びその関連コストである。

 

→ ウォーターフロントの地価の高騰

大体都市部ではウォーターフロントの地価が非常に高く、大規模で採算ベースに乗りうるマリーナに必要なスペースを確保しても、適切な投資利回りを期待できない。

 

→ 可処分所得の支出先の多様化及び人口統計上の傾向

前述のとおり、平均的な家族の可処分所得の用途が多様化する一方、ボートの所有に高い優先順位を置く主婦は少なくなっている。他方、中年層の人口比率が増えており、彼らはボートを持つ贅沢を楽しめる可処分所得があるにもかかわらす、ボートの運搬や保管の手間を省きたいと考える傾向にある。

 

→ 政府規制

広範囲にわたる政府規制はマリーナの開発コストに多大な影響を与えており、この傾向が近い将来に改善される兆候はない。一方、水路の利用者は、水路の混雑を解消すべくスウィング・ムアリングの制限を政府に強く求めている。

 

 

 

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