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マリーナを採算ベースに乗せるには、比較的大規模なマリーナ(100以上のバース)にするか、プロジェクトの収入を増やすような何らかの開発事業とマリーナを合体させなくてはならないというのが業界内の通説である。小規模のマリーナの多くは、必要投資額に対する利回りが少なく、時間と費用のかかる認定のプロセスを経なければならない場合は特にそうである。このため、ほとんど全てのマリーナにボートの修理設備が併設されていたり、マリーナ・プロジェクトに連係した形でブローカーの事務所が開設されていることが多い。

 

多くの州において、マリーナ産業の収益性を左右する一因として、事業者間の厳しい競争があげられている。特に小規模のスウィング・ムアリング施設などは、ビクトリア州を除く全州の多くの入り江や湾にあり、厳しい競争に晒されている。

トレーラー・ボートの所有者に比べ、マリーナ使用者のほうが質の高い舟艇を所有する傾向にあるが、マリーナ使用者の中では小型の比較的廉価なボートを所有している者がスウィング・ムアリングスペースや廉価なボート小屋型の設備の利用者となっている。ただし、概して、自分の地位に関係なくこれらの者は価格に敏感なので、なるべく得な設備を使用するよう努めるため、安価な設備の方が需要が多く、稼働率が90〜98%と高い(高価な施設は70〜80%程度)。

なお、マリーナの規模や使用料を考えると、一般的に大型マリーナの方が投資価値は高く、最近着手したマリーナ開発事業の大半は、100以上のバースを擁する大規模なもので、他の収入源となる事業と一体となった開発プロジェクトとして推進される傾向にある。

 

2.5 プレジャーボート産業に対するマリーナのインパクト

効率的なボート保管施設やボート着水施設があると、国民がプレジャーボートを楽しむ頻度が増える。

近年、平均的なボート所有者はボートを着水地点まで運ぶ面倒を嫌う傾向にあり、廉価な代替策を希望する声は多い。特に、ボートの運搬や自宅保管が困難な都市部ではこの傾向が強い。

しかしながら、マリーナにボートを保管するとなると、週80ドル以上の追加経費が必要となり、多くのボート所有者にとってマリーナは魅力ある選択肢からはずれてしまう。ボート所有者には中所得層が多く、その可処分所得の用途が益々多様化していることにも注意が必要である。

 

 

 

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